記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年06月23日

結局は主役が頑張れ:村上秀明

 競馬場に最も遠い存在だと思っていた子どもや女子高生が、場内で陣取っている光景を目にした。中央競馬の北海道シリーズが17日から函館競馬場で開幕。函館、札幌で計4カ月のロングラン開催となる毎年恒例の夏競馬だ。格の高いG1レースが行われる東京競馬場など数万人の観衆が集まる本州開催とは違い、芝生の上に敷物を敷き、だんらんしながら、のんびりムードで楽しんでいるファンが多い。

 そんな函館競馬場に、先週末に集まった子どもや女子高生のお目当ては、1日2度のライブを披露しに来たお笑いコンビの南海キャンディーズ(17日)とフットボールアワー(18日)だった。集客力のある人気コンビの来場は、集客効果の期待や場内を盛り上げるためで、タレント招聘(しょうへい)は中央競馬の各競馬場でも頻繁に行われているが、函館開催でも恒例になりつつある。

 確かに、この2日間は前年比100%以上の来場者があった。JRA関係者はもっと多い来場者数を期待していたかもしれないが、数字としては確保していた。ただ、競馬場に足を運んでもらったという数年、数十年後の「先行投資」にはなるが、子ども、女子高生は勝馬投票権(馬券)が法律で買えない。これだけが理由ではないが、案の定、売り上げは前年比84%にとどまった。

 こう考えるとイベントの集客は本当に難しい。人の数は集められるが、イベント自体は盛り上がったのかどうか。数年前、高校野球の甲子園取材時に、開幕セレモニーでジャニーズの人気タレントがグラウンドにいるのを見た。バックネット裏には若い女性が大挙集まり「キャーキャー」と黄色い声が響いていた。だが、そのセレモニーが終わると女性ファンも一斉に撤収。試合開始時には、ほぼ埋まった内野席で、バックネット裏だけが空席だらけの異様な光景だった。

 函館開幕の土、日曜も、競馬場内に設置されたミニステージの前で、南海キャンディーズやフットボールアワーの出番待ちで200人ほどが場所取りをしていた。その50メートルほど横の場所で、最後の3レースで騎手などの表彰式を行っているが、その表彰式を見ているファンは20人程度だった。何か寂しい気持ちになると同時に「主役がもう少し頑張れ」と叫びたくなった。

 競馬の主役は競走馬、そして騎手だろう。レース前日は、競馬の公正を確保するためと心身の調整を目的に、宿泊施設の調整ルーム入りが義務で、外部との接触から引き離される。大けがと隣り合わせの命懸けの仕事で、平日も早朝から調教の手綱を取る。競馬場内でサイン会などをやっているが、なかなか外部に出てファンと触れ合う機会が少ないのは事実だが。

 いろんな企画で注目されるきっかけをつくっても、集客の決め手は、結局のところ主役の活躍が不可欠ではないか。スターホースのディープインパクトのおかげで競馬が注目を集める今だからこそ、若手ジョッキーも多数集まっている函館競馬から、第2の武豊騎手の出現を期待せずにはいられない。

June 23, 2006 02:00 PM