記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年06月17日

稼頭央に再び輝きを:千葉修宏

 前回のコラムで「強いメッツを見に来て」と書いた途端に、松井稼頭央選手(30)がロッキーズへトレードになってしまいました。それで落ち込んではいないかと心配になって、コロラドまで行って来ました。

 でも心配は無用でした。とりあえず現在、稼頭央選手は3Aコロラドスプリングスに合流して調整中なのですが、その直前にチームの配慮もあって、クアーズ・フィールドでロッキーズ本体の練習に参加しました。その時の表情を見たら、もう完全に吹っ切れた、いい顔をしてましたから。

 ロッキーズは8月18~20日、ニューヨークでメッツと戦います。彼はそれを楽しみにしていました。「もうヒール(悪役)ですからね。ブーイングでも何でも来い! って感じですよ」と笑ってました。

 大リーグを取材していると分かるのですが、やっぱりニューヨークという町は、良くも悪くも特別なんですよね。メディアの数から違いますし、報道内容も、ちょっと打てなかっただけで、相当ヒステリックにたたかれます。そういう新聞記事などを読んでいるファンも、悪く言えば洗脳されてますから、すぐにブーイングですよ。

 また、稼頭央選手は日本人ですから、地元メディアにしてみれば、批判しやすいんでしょうね。球場で本人に会っても、完ぺきな英語で反論されることもないし。移籍直前の報道なんか、「そこまで書くことないだろ」って感じのボロクソなものが多くて、「誰かが意図的に書かせているのでは」とまで思うようなものでしたから。

 笑えたんですが、ちょうど稼頭央選手がロッキーズの練習に参加していた10~11日、ドジャースと試合が行われました。相手側にもまたメッツから移籍した徐在応(ソ・ジェウン)投手がいました。試合前、彼が「カズはどうしてここにいるんだよ」って話しかけてきました。こちらが「君の方が(メッツの内情を)良く知ってるだろ」と言うと、向こうはニヤリ。新聞に書くには不適切な表現を交え「あのドミニカ生まれのGMのせいだろ」と、ミナヤGMおよび主力を中米系選手で固めたチーム事情を皮肉っていました。

 もちろん打撃のスランプも稼頭央選手がメッツから放出された要因です。でも周囲の環境は、彼にとって活躍しやすいものだったとは言えません。その点、ロッキーズでは、もっと伸び伸びと、自分本来の野球のスタイルを追求できるのではと期待しています。

 西武時代の稼頭央選手は、走攻守に秀でていて、本当に輝いていました。余談ですが、彼は球場外でもかなりイケてるんですよ。私服姿のことなんですけど、ブランド品だけ買っておけばいいという感じの典型的プロ野球選手とは違って、ジーパンやシルバー+ダイヤモンドのアクセサリーなど、ストリート系のファッションが、本当に様になっている。彼のやんちゃな感じによく合ってるんです。

 コロラドではそんな紛れもないスターの輝きを取り戻して欲しい。3Aの試合で必死になって汗を流している姿を見ていると、そんなことを願わずにいられませんでした。

June 17, 2006 09:37 AM