2006年05月21日
まず見てから語ろう:小林千穂
映画界でも年に1度ほどお祭り騒ぎ状態になることがある。20日に公開された「ダ・ヴィンチ・コード」がそうだ。世界で5000万部を売り上げた大大ベストセラーの映画化だけに、公開が近づくにつれて、周囲でも期待が高まっているのを感じた。日本映画は映画担当よりも多く見ているほどなのに、洋画に関しては「鎖国してます」と断言するデスクも「この作品は見に行こうかな」と言っているし、年に両手で足りるほどしか劇場で映画を見ない同僚記者も試写会に出掛けて行った。去年公開された「スター・ウォーズ エピソード3」の時もこんな雰囲気だったけど、シリーズものということもあって、スター・ウォーズの世界に入りきれていない人はちょっと遠巻きに、冷ややかだった。「ダ・ヴィンチ-」に関しては、幅広く、いろんな人を巻き込んでいる感が強い。
配給のソニー・ピクチャーズ社内では1年以上前から「800万人動員対策委員会」というすごい名前で組織的に動いてきたらしい。ちなみに800万人は、単価1250円で計算すると興収100億円に換算される。宣伝、劇場営業、ビデオ、テレビ、携帯コンテンツなどの各部署のトップが20人ほど集まり、協議してきたのだとか。また、この「ダ・ヴィンチ-」、1年以上前から5月20日公開が決まっていた。こういうケースも珍しいそうで、たいていは「秋公開」とか「来年正月公開」と打たれる場合が多い。「20日は『ダ・ヴィンチ-』」と決め打ちした劇場側の期待も相当なものだと分かる。
17、18日にはマスコミ向けの試写会も行われたが、この試写状の回収率、ほぼ100%だったそう。試写状をもらった人全員が「見ておかなきゃ」と思ったわけで。これはすごい。もちろん私も、回収率100%の1人です。シリーズ3作品で興収約270億円の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの場合でも、回収率9割少し、多くの作品が6~7割ということから見ても、関心の高さが分かる。
ただ、開催中のカンヌ映画祭のオープニング上映では「失笑が起こった」とか「拍手が起きなかった」なんてニュースもあった。キリスト教の暗部を描いている作品だけに、製作段階から賛否両論起こっていたけど、すごい反応。社内でもこの反応を聞いて「あちゃ~、そうなの」という驚きの声が上がった。
この作品がひどい言われようをしたことはさておき、ちょっと心配なのは、これで映画館に行かなくていいや、と思ってしまう人が増えてしまうこと。勢いのある作品が1つでもあることは、映画界にとってもいいことだと思う。やっぱり映画は大っきなスクリーンで見るのが一番。こういう作品をきっかけに、映画館に足を運ぶ人が増えればいい。どうぞ皆さん、映画でもなんでもそうですが、自分の目で見てああだこうだと言ってください。
さて、「ダ・ヴィンチ-」、興収100億円いくかな。映画界にとっていいニュースになればと思ってます。
May 21, 2006 11:23 AM
