2006年05月10日
8人サッカーで育て:岡本学
ゴールデンウイーク中の4、5日に神奈川・日産スタジアムで弊社主催のイベント「JA全農チビリンピック2006」が開催された。陸上を中心にサッカー、卓球の3競技に小学生とその親を含め約2万9000人が参加。その中でも、サッカーは全国9地域の予選を勝ち抜いた9チームが出場し、ハイレベルな戦いを繰り広げた。
通常サッカーといえば、11人が2チームに分かれて行うものだが、今大会は日本サッカー協会の推奨で4年前から8人制で実施されている。同協会の田嶋幸三技術委員長は「『11人制でなければサッカーではない』といった声もあるが、4年目を迎えてようやく8人制が認められてきた」。まだ、全国へ浸透しているとはいえないそうだが、小学5、6年生を中心とした選手たちは、はつらつとしたプレーを展開した。準決勝、決勝を観戦した本紙評論家の井原正巳氏が「本当にレベルが高い」と感心すれば、同委員長も「単純に前へ蹴るというのではなく、1つ1つのプレーに明確な狙いがある」と、U-12(12歳以下)年代の技術的な進歩に目を細めた。
8人制は、通常より狭い縦60×横40メートルのピッチを使って行われ、欧州、南米などではジュニア層強化のため積極的に取り入れられている。田嶋技術委員長は8人制を推奨する理由について「選手1人1人がたくさんボールに触ることができ、いろんな選手にシュートチャンスが生まれる。統計を取ったところ11人制の3~4割増し。また、1対1の場面も増えて、よりコンペティティブになる」。12分×3ピリオド(P)制、第1、第2Pは選手を総替えするルールを導入しており、16選手が試合に出場することができる。
また、8人制では審判1人制を導入している。選手が審判に判定のすべてを任せるのではなく、自己申告によってフェアプレー精神を育てることを目的としている。オフサイドを取りきれないなど問題もあるが、審判を信頼する心を養うことも目的の1つだ。同時に、この年代でフェアプレーにグリーンカードを提示する制度も導入している。大会中もピッチ外遠くへ飛んだボールを全力で拾いにいった控え選手にグリーンカードが出され、拍手が起こるシーンもあった。田嶋委員長は「この年代の指導者は選手をしかることが多いが、褒めた方がうまくなる」と狙いを説明した。
日本協会は2015年までに世界のトップ10に入ること、2050年までにW杯を単独開催し優勝することを約束している。その約束を果たすため、子供たちの技術だけでなく心もしっかり育てようと、さまざまな工夫をしている。同委員長は大会の開会式で呼び掛けた。「日本のサッカーは変わってきているし、君たちに日本サッカーを変えていってほしい。10年後の21、22歳は五輪、W杯に出られる年齢。ぜひ、その中心になれるよう頑張ってほしい」。日本サッカーには、底辺から着実に進歩できる環境がある。
May 10, 2006 09:00 AM
