2006年04月20日
信念持ち素早く動く:岡本学
日本サッカー協会と福島県などが、ナショナルトレーニングセンターのJヴィレッジを拠点に地元と連携して行う中高一貫エリート教育「JFAアカデミー福島」の開校式が8日に富岡町で行われた。中学1年から高校1年までの男女40人を全国から選抜。親元を離れた「金の卵」を地元の公立中学、高校に通わせて寮生活を送らせながら、中高一貫で英才教育を施す。将来のサッカー日本代表はもちろん、日本をリードしていくことができる真の国際人の育成を目指している。
その成果が出るまで、数年から10年近くの歳月がかかるだろうが、驚くのはプロジェクトをスタートするまでのスピードだ。日本サッカー協会が、関係する福島県などに構想を伝えたのが04年9月のことだったという。それから、わずか1年半で開校までこぎつけた。「お役所仕事」と、言われるように、この手のプロジェクトに行政が絡むと、開校まで10年かかってもおかしくない。同協会が明確なビジョンを示し、熱意をもって交渉を進めたこと、さらに同協会のグローバルな姿勢と福島県など地元3町の目指す方向性とが一致したことが、驚くべきスピード開校につながった。
先日、J2神戸の三木谷会長と安達社長兼GMが、鈴木チェアマンにあいさつするため東京・本郷のJリーグを訪れた。三木谷会長に直接、話を聞くことはできなかったが、安達社長によるとプロ野球楽天のオーナーも務める同会長はペナント開幕直後に担当記者の前で、球界の現状を嘆いていたという。「サッカー界と比べ、改革する態勢ができていない」と。
Jリーグがスタートした93年に川淵チェアマン(当時)は「地域に根差した」とか「地域に密着した」という言葉を使って、Jリーグが目指す方向性を示した。企業に依存していた当時の日本スポーツ界の状況下で「川淵は、何をばかなことを言ってるんだ」という批判も多数あった。それが、たった10年ほどで、プロ野球の球団名にも都市名が入り、地域密着を叫ぶなど様変わりした。「前例がないから、と言っていては何も始まらない」。川淵キャプテンの講演などで、そういう趣旨の言葉をよく耳にする。明確なビジョンと信念を持ち、前例にとらわれずに素早く動くところは、我々も大いに見習うところだろう。
芝生の校庭を持った学校を増やすための活動を積極的に行い、JFAアカデミー福島に続いて少年少女の「こころ」を豊かに育てることを目的としたプロジェクトも協会内に立ち上げた。また、アジアチャンピオンズリーグの活性化へ向け、同キャプテンが先頭に立つことも決まった。「2050年には日本でW杯を単独開催し、地元優勝する」などの2005年宣言も、同協会が発信した約束だ。「夢があるから強くなる」というスローガンに沿って、前例にとらわれず、信念を持って前へ前へと積極的に挑戦していく姿勢は、今の日本スポーツ、日本社会にとって最高のお手本だ。
April 20, 2006 11:51 AM
