2006年04月13日
城島よ新たな英雄に:浜崎孝宏
米大リーグ、マリナーズの本拠地セーフコフィールドから北に車で約30分走った場所に、かつての英雄は眠っていた。足を踏み入れた先は、レイクビュー墓地。そこには大小さまざまな形をした石の墓が点在しており、芝生のグリーンと八重桜のピンクが鮮やかなコントラストを描いている。眼下にはレイクユニオンと呼ばれる湖が広がる風光明美な小高い丘の上に、映画「燃えよドラゴン」で有名なブルース・リーの茶色い石の墓があった。
父親が舞台俳優だったブルース・リーは、公演先の米サンフランシスコで生まれた。生後3カ月にして中国映画に出演し、香港に帰国後も幼い時代から数多くの子役として活躍したという。そんな彼がなぜシアトルに骨をうずめたのかは定かではない。ただ分かっているのは、18歳で渡米した後、シアトル市内のワシントン大学に通い、同じ時期に中国武術の道場を開校。そこで知り合ったリンダ・エメリーと結婚した。残念ながら73年に32年の若さで死亡。わずか14年間のシアトル生活だったが、ファンを虜(とりこ)にしたスーパースターの墓に世界各国から参拝者が絶えないという。
マ軍イチロー外野手(32)が生まれたのは偶然にもブルース・リーが亡くなった73年。映画俳優と活躍の場は若干異なるものの、イチローは04年にシーズン世界最多262安打を樹立し、全米では世界のホームラン王「サダハル・オー」と並ぶビッグネームにのし上がった。
今年は、イチローだけじゃなく日本人初のメジャー捕手となる城島健司が世界最高峰リーグの門をたたいた。シアトル市内でおいしいと評判の日本料理店オーナーに話を聞いた。
「城島はキャッチャーの仕事を分かりやすく見せてくれる。私はやると思う。投手に対して球を低く、低くというジェスチャーなんかはアメリカ人捕手は、しないけど、そのうち浸透すると思う」。その言葉には異国の地で仕事のジャンルは違えどもプロとして“メジャー”で戦う同士の期待感にあふれていた。日本人の人口比率がほかの米都市と比べて高いといわれるシアトルだが、日本人メジャーの活躍は、一般人の生活にも、張りを持たせてくれる。
城島が、打席に入る際のテーマ曲にバラエティー番組「笑点」を熱望していたが、最後は地元シアトル出身の人気ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの「ヘイ・ジョー」を選んだ。自分の名前にちなんだこともあるが、やはりカリスマの曲には、人を引きつける何かがあるということか。
世界のスーパースター、ブルース・リー同様、アジア人としてイチロー、城島にはシアトルっ子に長く愛される「スーパーヒーロー」として頑張ってほしい。
April 13, 2006 01:01 PM
