2006年04月10日
心の葛藤語れる勇気:岡本学
自分のプレーぶりについて、正直な感想を口にする。故障しても逃げることなく、心の葛藤(かっとう)を交えながら胸の内を明かす。オランダのフェイエノールトから4年半ぶりに古巣の浦和へ復帰した、サッカー日本代表MFの小野伸二(26)。我々、マスコミにとって貴重な存在だ。
W杯開幕まで2カ月足らず。23人のメンバー入り、さらに定位置争いに向け、日本代表候補のし烈な戦いが続いている。広島FW佐藤寿のように好調な選手もいれば、鹿島FW柳沢のように故障に苦しむ選手もいる。1月末に浦和へ復帰した小野は、自身がイメージするプレーを取り戻せない苦悩を、我々マスコミに打ち明けている。
◆3月27日の日本代表練習後 まだ全然。(状態は)40%ぐらい。伸び伸びやれてない。自分がしっかりやれていれば、もっとチーム(浦和)は楽にやれている。結構苦しい時間帯があり、試合が終わってから反省している状態です。移籍してきて何かしないと、というプレッシャーがある。
◆3月30日の日本代表エクアドル戦後 うまくいかない部分がたくさんあって、もどかしい。試合が終わっても「やったー」という感覚がない。原因? 分からない。精神的なもの? かもしれないですね。コンディションは悪くないが、試合へのイメージがまだ低く、判断が遅い。50~60%くらいだと思う。
試合で良いプレーをしたとき、活躍したときのマスコミ対応は苦にならない選手が多いように思う。しかし、ミスをしたときや、不調なときに真摯(しんし)にマスコミ対応できる選手は、今のサッカー界に決して多いとはいえない。ましてや、W杯を直前に控えた大切な時期に、苦しい胸の内を明かすのは勇気がいることだと思う。日本代表を取材した弊社担当記者とも話をした。「小野のように誠実にマスコミに対応している選手が、苦しんでいる胸の内を明かしたことで批判されることがないようにしたい」と。
昨季は、度重なる右足小指の故障で満足に試合に出場できなかった。試合勘が戻っていないのだろう。試合を見ていても、思い通りにならないもどかしさからか、イライラしているようにさえ見えた。エクアドル戦を観戦した日本協会の川淵キャプテンも「自分の気持ちとプレーが一体になっていないようだ。これまでのようにスルーパスが通らない。浦和でガムシャラにやって取り戻してほしい」とエールを送った。
代表戦後、浦和へ戻ってからもゴール前での決定的なチャンスを外すなど、プレーに悩んでいるように見える。ただ、休む間を惜しんで練習、試合に励んできたことは間違いない。今は結果を恐れることなく、前向きにボールを蹴ってほしい。練習時間前後に見せる華麗なボールリフティングを楽しむかのように。
小野は「毎試合笑って終われるようにしたい」という。伸二スマイルがW杯本番で戻ってくることを信じ、待ちたいと思う。
April 10, 2006 12:08 PM
