2006年04月11日
もっと言葉で伝えて:小林千穂
あらかじめセッティングされた場面で、決められた時間の1対1のインタビューをすることが多いのだが、インタビュー=会話のようなもので、会話ベタにとっては本当に難しい。
聞ききれずにハイ終了、タイムアップなんてのはザラ。特に、海外から来日した俳優、女優は15分なんていう恐ろしく短い時間で設定されることもある。これまでの最短時間はある韓国女優の10分。通訳も入るので、実質、持ち時間はその半分。しかも、十数社、時には数十社が2、3日の間に取材をする場合もあるので、1社が時間オーバーしようもんなら…ってことで、取材部屋の中にエージェントやら宣伝マン、その他有象無象がひしめき合っていて、容赦なく強制終了させられる。がっくりと肩を落として部屋を出て行くしかないこともある。
それでも、海外俳優たちはインタビューに対して積極的だ。短い時間でも「僕、私を知って」という雰囲気をガンガン出してくる。質問に対する返しが長いのも、彼らの特徴かもしれません。「長っ~」と思ってドキドキしながらも、もっと知りたい、もっと時間があったらと思わせられる。取材が苦手な人も、時差で激しく眠い人もいるけど「この機会を逃すものか」という、どん欲さが伝わることが多い。
何年か前、もうすぐ公開が楽しみな「ダ・ヴィンチ・コード」に出演している女優オドレイ・トトゥを取材した時。日本でもヒットした「アメリ」で人気になった人なのだが、どうしても不思議ちゃん少女、アメリのイメージから抜け出せず悩んでいる人だと思っていた。新作の話をして、それから…と、流れを考えていたところ、彼女は部屋に入るなり自分から「『アメリ』の女優、なんて言わないでね。言わせたくないな、あははあ」と笑った。これだけで、彼女の負けん気や、もどかしさが伝わってきた。
日本人はどうかというと、言葉が伝わる分「そこまで言わなくても、察してよ」となることも多い。こちらもその場で「察した」としても、文字にしようと思うと、その人自身の言葉ではなくなってしまうので、結果的に書き手の主観が入ることになる。お互いに十分に理解し合えないままの記事が出来上がってしまうこともある。「国民性」うんぬんを言うのは、型通りのようにも思えるが、やはり日本人はシャイだし、思慮深さが美徳という姿勢の人が多いような気もする。もっと、言葉を繰り出してくれたら、と思うこともある。
もちろん、こちらの勉強不足や、コミュニケーションの下手っぴいさが足を引っ張ることもある。怒られたことも、思い出したくない人もいる。ちなみに、これまでNO・1怒られた、というより、しかってくれたのは演出家の故久世光彦さん、作家の京極夏彦さん、かな。怒りの言葉を投げ掛けてくれるのは「おれのこともっと分かってくれよ」ということでもある。かえってそういう人のインタビューが、後で思い返せば心地よかったりする。
April 11, 2006 11:22 AM
