2006年04月06日
戻りつつある時計針:桐越聡
黙って見ているだけなのだろうか。
「送金指示」メール問題の責任を取って前原誠司代表ら執行部が総退陣することになった民主党。新代表を選出する代表選は7日に行われる。その規則や手続きなどを決める衆参両院の議員総会が3日に開かれた。取材していて正直、ガッカリした。
質疑の時間に手を挙げたのは自称「総理を狙う男」河村たかし衆院議員だけ。河村氏は(1)20人の推薦人を集めなければならないという立候補のハードルは高すぎる(2)推薦人を集めるための演説会を開いてほしい、と主張。「民主党は挑戦者の政党なのだから内部の挑戦者に対してもチャンスをつくってほしい」と力強く訴えた。
しかし、100人以上の出席者から1人として同調する声は出なかった。それどころか反論すら出ない。「そのぐらい集めろ」というヤジと、冷ややかな失笑が漏れるだけだった。鳩山由紀夫幹事長は「代表になるのは過半数の支持を得なければならないのだから、20人は集めてください」。あっさりと却下された。
過去の代表選と違って今回だけ推薦人のハードルを下げてほしいという河村氏の主張は唐突だったのかもしれない。民主党の国会議員には、推薦人を集められない人の“負け犬の遠ぼえ”ぐらいにしか聞こえなかったのかもしれない。あるいは河村氏は新代表にふさわしくないと思われているのかもしれない。とはいえ、民主党がこんな危機的状況にあるにもかかわらず、ほとんどの議員が傍観者のような態度を貫いていたのには違和感があった。
政治の世界はきれい事が通用する世界ではないと、分かってはいる。しかし、だからといって河村氏のような提案に誰も反応せず、何となくしらけたような雰囲気が漂うのはいかがなものか。自民党との違いを鮮明に打ち出して政権交代に挑もうとしている民主党で、大きなグループをバックにしている人だけが代表選に立候補しようとしている。旧来の自民党の派閥政治と何が違うのか。
河村氏は落胆していた。「商売でも何でも参入規制を外して、新しい挑戦者を迎え入れることが一番変わっていくことなんですね。国民の皆さんのために言わないといかんじゃないですか、これはハッキリと」。推薦人を集められない人の負け惜しみだと受け流されているのだろうか。
前原代表が選ばれたとき「まさに時代の変わり目。英国のブレア首相が労働党内でリーダーシップを握ったときと似ている」と話し、43歳で英国首相になったブレア氏の登場とダブらせた民主党の国会議員がいた。半年前に前原氏を支持して時計の針を進めたいと思っていた人は黙っているだけなのだろうか。
「前原さんがこういうふうになったからといって、くじけることないんですよ。またそういう人を立てればいいんですよ、みんなで。挑戦し続けることが使命じゃないですか」と、河村氏は話した。時計の針を戻すことが悪いとは思わない。だが、時計の針が戻すことが前提になっているような今回の代表選はどうなのか。内向きすぎではないだろうか。
April 6, 2006 11:31 AM
