記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年03月31日

大学サッカー界の今:岡本学

 高校サッカーとJリーグの間で、ちょっと地味な印象がある大学サッカーだが、ここ数年はその存在価値が見直されている。

 今日30日に日本代表はキリンチャレンジ杯でエクアドル代表と対戦するが、そのメンバーの浦和DF坪井慶介(26)は福岡大、千葉FW巻誠一郎(25)は駒大出身。Jリーグ清水で背番号10を背負い、主力として活躍しているMF藤本淳吾(22)も昨季まで筑波大に在籍していた。3人はユニバーシアード(2年に1度開催)日本代表で世界一も経験し、プロになってからも順調に成長している。

 93年にJリーグがスタートした当時は、高校の有力選手は卒業と同時にほとんどがJリーガーになった。J発足初期はJクラブの選手層の薄さもあって、ちょっと実力があればJリーガーになれる時期でもあった。その一方で、大学へ進学する選手には「Jクラブのスカウトたちの目に留まらなかった」というような劣等感もあり、大学サッカーが空洞化していた時期もあった。だが、今は違う。

 もちろん最近も、高校の有力選手が卒業と同時にJリーガーになるケースは多い。だが、高校卒業時にプロとしての実力が疑問視された選手の中にも、大学サッカーで鍛えられ、成長し、卒業後にプロとして活躍している坪井、巻のような日本代表選手もいる。また、高校卒業時にプロから誘われながらも、実力に自信が持てない選手の中には、あえて大学進学を選択するケースも出てきている。

 高校時代に芽が出なかった選手でも、頑張れば成長できる環境が大学サッカーにある。26日には大学サッカーの日韓定期戦「第3回デンソー杯」が埼玉スタジアムで行われた。結果は巻、原の駒大FWコンビの活躍もあって全日本大学選抜が全韓国大学選抜を延長戦の末に下したが、何より定期戦へ至るまでの過程がいい。毎年、全国の地域大学選抜チームが1カ所に集いリーグ戦を行い、そこで活躍した選手が全日本大学選抜に選出される仕組み。選ばれた選手は海外へ遠征(今年はスペインへ約1週間)し、最後の締めくくりとして全韓国大学選抜との定期戦で貴重な経験を積む。全日本大学選抜の広井主将(駒大)は「スペインでの数試合の経験で、ひと回りもふた回りも大きくなった」という。

 デンソー杯のほかにも日本が3連覇中のユニバーシアードもあり、大学サッカーという枠の中で国の威信をかけて戦うチャンスもある。もちろん、Jリーガーと同様にU-20(20歳以下)日本代表としてワールドユース選手権(2年に1度)U-23日本代表として五輪に出場するチャンスや、昨季の藤本のように大学に籍を置きながらJクラブの特別指定選手としてJリーグに出場する機会もある。

 大学サッカー界のタレントが多く集まる関東大学リーグは4月1日、名門・早大が9年ぶりに1部復帰して開幕。他地域を含め、将来の日本サッカーを背負う選手が埋もれる、大学サッカーにも注目してほしい。

March 31, 2006 11:33 AM