2006年03月24日
頑張れ地産地消球児:浜崎孝宏
「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が終了したばかりだが、今日23日からは、センバツ高校野球が甲子園球場で幕を開ける。25日からはパ・リーグ開幕とまさに球春到来といった感じだ。そんな中、今日の甲子園初日の第3試合に登場する初出場の伊万里商に九州出身者の私は、エールを送りたい。
佐賀県西部に位置する伊万里は、隣接する有田と並び、陶器の町として有名。陶器の知名度は全国区だが、意外に知られていないのが、きめ細かく弾力性抜群の肉質を誇る伊万里牛だ。知名度のある松坂牛などと比べても肉質は遜色(そんしょく)ないと思う。私の自宅は福岡市の西部にある。伊万里牛のうまさに食欲をかられ、車で約2時間の道のりも苦にならないほどだ。伊万里牛を提供する約10店舗がタッグを組み「ステーキロード」と名付けられるほどの地元では名物グルメで、町おこしの起爆剤として期待されている。
昭和の牧歌的風景があちこちに残る景色の中に、伊万里商もある。創立106年目にして、春夏通じて初の甲子園切符。たまたま朗報が学校に届いた日は、取材に出向いていた。修学旅行中で主力選手は長野に「出張中」だったが、会議室には、インターネットと50インチテレビを接続し、旅行先の長野・上田市のマルチメディアセンターに集まった野球部24人を結んだ「ホットライン会見」は新鮮だった。
そんな最先端のハイテク会見同様、野球スタイルも最近はやりの「スモールベースボール」だ。伊万里牛のようにきめ細かい野球が売りで、レギュラーの平均身長は約170センチと小柄ながら、つなぎの打線で昨秋の九州大会4強。昨年、日本一に輝いたロッテのボビー・バレンタイン監督ばりに4番打者にもバント、エンドランありの機動力野球で勝機をものにしてきた。秀坂監督は94年夏の甲子園で優勝した佐賀商の副部長として、手堅い野球を学んできた。監督就任3年目にして、夢舞台への扉が開いた。強さの秘密は徹底したチーム打撃にある。シート打撃では左翼に守りをつけず「中堅から右」を意識させ、フリー打撃で万が一、左翼方向に打球が飛べば打った本人が自ら球拾いにいくという。左右打ちは2人ほどいるが、ほとんどが右打者とあって、左翼いらずの打撃練習は、チームカラーを象徴するものだった。
地元で生産したものを地元で消費する「地産地消」が全国的なブームだが、4番打者の伊万里牛? 同様、野球部のメンバーも中学時代に伊万里に誕生した硬式のリトルリーグチームの出身者。伊万里商はこの地で生まれ、育った、まさに「地産地消」の野球少年たちだ。
全国の強豪校には「野球留学生」で編成されるチームも見られるだけに「地産地消」の伊万里商は、応援したくなる。高校野球の良さは何といっても、地元を離れて全国、津々浦々で奮闘する人々にとっても励みになることだ。伊万里商ナインには「伊万里牛パワー」で普段着野球を見せてほしいものだ。
March 24, 2006 11:16 AM
