記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年03月11日

ピンチをチャンスに:岡本学

 ピンチをチャンスに変え、そのチャンスを生かす。そんなたくましさを「見習いたい」と思った。

 W杯ドイツ大会(6月9日開幕)を控えるサッカー日本代表が、2月28日にドイツのドルトムントでボスニア・ヘルツェゴビナと親善試合を行った。結果はMF中田英寿(ボルトン)のロスタイム同点弾で2-2の引き分け。守備面などで課題も多かったが、何より1次リーグの最終ブラジル戦(6月22日)を行うウェストファーレン・スタジアムで試合ができたこと、5月末からキャンプを張るボンで合宿できたことは、本番へ向け良かった。宿泊するホテルには「日本語のテレビ放送を入れてほしい」、グラウンドのロッカー室には「ドライヤーを使うためのコンセントをつけてほしい」など、選手、スタッフからさまざまな要望が出され、W杯直前合宿でストレスを最小限に食い止め、集中して練習する環境づくりができた。他のチームと比べ、予行演習ができたことは大きなアドバンテージになる。

 収穫が多かったシミュレーション合宿だが、本来なら「ないもの」だった。当初はW杯前唯一、欧州組を招集できる国際Aマッチデー(3月1日)にアジア杯予選の第2戦が予定されていた。それが抽選前日の1月3日になって、W杯へ出場するチームに限って予選を延期し、W杯に向けた強化試合を入れることをアジア・サッカー連盟(AFC)が許可。昨年から3月1日をアジア杯予選に使うことに反対し、主張が全く受け入れられなかったために、アジア杯予選第2戦への準備を完了していた日本にとって、まさに「寝耳に水」の決定で、「何を今更」という思いも強かったはずだ。

 だが、ここから日本協会の対応は迅速だった。まさに「ピンチをチャンスに変える」とはこのこと。川淵三郎キャプテンの大号令の下、仮想クロアチアのボスニア・ヘルツェゴビナとの親善試合を決めただけでなく、W杯会場での試合、W杯直前キャンプを行うボンでの合宿を短い準備期間にあっという間に決め、実行した。さらに協会スタッフはこの遠征後に、6月4日にマルタとデュッセルドルフで親善試合を行うことを決め、サポーター、スポンサー、報道陣の活動拠点となるG-JAMPS(ジー・ジャンプス)の開設打ち合わせなども行った。

 3月1日にライバル国のクロアチアはスイス・バーゼルでアルゼンチンに3-2と勝利、ブラジルもモスクワでロシアに1-0と勝利し、結果的には引き分けの日本を上回った。しかし、トータルでみればW杯会場、練習グラウンド、宿泊ホテル、さらに空港からホテル、ホテルからスタジアムの移動なども経験するなど、準備を進めた日本の勝利だった。ピンチをチャンスに変え、チャンスを確実に生かしたたくましさは、我々がピンチに陥ったときの良き手本。皆さんもピンチに動じることなく、チャンスをつかみとるべく、前へ進んでいきましょう!

March 11, 2006 09:22 AM