記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年02月23日

日本のすごさ見たい:村上秀明

 現在取材中のイタリア・トリノで指圧の浪越さんを思い出した。

 故浪越徳治郎さんは、自分が住む北海道に深い縁がある。ルスツリゾートで有名な北海道の留寿都村の「赤い靴ふるさと公園」に、両手の親指を突き出して、大笑いする銅像がある。近づくと本人の豪快な笑い声が聞こえる仕掛けで人気がある。「指圧の心は母心 押せば命の泉わく」は有名な言葉だ。

 浪越さんは7歳で香川県から留寿都村に移住。厳しい寒さでリウマチを患った母をもんだのがきっかけで、独自のマッサージの道を切り開いた。ツボを押す術を「指圧」と名付け、北海道室蘭市で開業。女優マリリン・モンローにも計7回施した「指圧」は浪越さんの造語だ。

 トリノ五輪を報道する世界各国のメディアが集うメーンメディアセンター(MMC)は、いろいろな施設が集結したエリアだ。日本の各社はブースを持ち、記者会見が行われる部屋もある。レストランはもちろん郵便局、クリーニング店、カメラ店、雑貨店、グッズの売店などが、24時間態勢の仕事場を支えている。
 その中で「Shiatsu Massage」のコーナーが連日、にぎわっている。マッサージ専用席が8つほどあり、現地のボランティアスタッフが無料で指圧を担当する。メディアに対するサービスで、02年ソルトレークシティー冬季五輪のMMC内でもあったそうだ。

 1度だけ世話になり、30分ほど背中を押してもらったが、まずまずの感触だった。行列ができていて順番まで少し待ったが、欧米、アジアなど肌の色は関係なく指圧を受けていた。「指圧という言葉を万国共通語にしたい」が浪越さんの生涯の夢だった。日本で生まれた「SHIATSU」が、立派に世界に浸透していると感じた。

 MMCに隣接するショッピングモール内には、「TERIYAKI」という名の店がある(実際は、ご飯やめんの上にのせた野菜や肉に、たれをかけているだけだが)。メニューの1つには、9ユーロ(約1260円)の「SUSHI」もある。木製の船の形をした器に10貫。現地の人がハシを使い食べている姿を見ると、なぜだか誇らしく思う。

 トリノ市は、イタリアの自動車メーカー・フィアットの本拠地があり、自動車工業で発展してきた。そんな町の中心街で日本車を何台も見掛けると、これも誇らしく思う。仕事の合間に食べているインスタントラーメンも、思えば日本から世界に普及したものだ。海外に出てあらためて気付く「日本ってすごい」という部分は多い。

 残りわずかになったトリノ冬季五輪だが、なかなか力を発揮できず、メダルという結果にたどり着かない。それでも風邪をおして気力で戦ったスピードスケートの岡崎朋美、がんを克服した日本生まれのフィギュアスケート井上怜奈(米国代表)ら、頑張りが伝わってくる姿に感動をもらっている。

 「日本ってすごい」。結果でも、内容でもいい。最後にそんな感動、感激が少しでも感じられたらいい。

February 23, 2006 11:07 AM