2006年01月31日
金か権力か…世相か:小林千穂
小さなことですが、私の周囲にもやってきました、「ホリエモン余波」です。
以前から「金か名誉か権力か、1つだったらどれが欲しい?」という問いをするのが好きなのだが、この回答にちょっとした変化が。逮捕後「権力」と答える人が急増ってほどでもないけど、明らかに増えたような気がする。以前はお金と権力が半々くらいだっただろうか。「面倒くさいことは嫌なので、とにかく金だけ持って、好きなことをして暮らしたい」と言った人に、あらためて聞いてみた。うーんと腕組みをし、迷った末に「権力、でもいいかな。だって、金がうなってても、踏み外すってことでしょ。権力って面倒くさくても後々役立つかも」と、消極的ながら方向転換していた。
質問がくだらないというのは百も承知。でも、その人が3つのうちのどれを選ぶかということ以上に、その後にくっついてくる理由がその時々、それぞれで面白い。今回みたいに、同じ人でも自分や周囲の変化で、回答が変わることもある。ま、今だからこそ、金とか権力というキーワードで、ホリエモンを思い出す人がいて、逆に彼のことを考えるとこんなキーワードがくっついてくるということは確かなようで。
これまで質問をした人は100人を超えていると思う。今になってみれば、メモを残しておけばよかった、と少し後悔するくらい。話に困ったときの接ぎ穂でも、少し親しくなった人にも、この問いを許してくれそうな雰囲気があればすかさず。取材相手にも、インタビューを終えて雑談が始まった時に「ところで…」と切り出すことも。
中には「そのどれでもなく、温かい家庭」と答えた人や、しみじみと「女性」と言った人もいた。その理由はそれなりに楽しませてもらったが、変則的な答えはここでは置いといて、集まる回答が増えるにつれメモを取らずとも気になることがあった。それは「名誉」と答える人がいないこと。見事なほど、いない。「余波」の後も相変わらず人気がない。ある人は「名誉と言いたいけど理想論。現実を考えるとお金」と。別の人は「いかに今の社会の中で、名誉が名誉でないか。名誉だけじゃ食えない」と話していた。3つの中では一番、毒々しさや生々しさがない分、実体や輪郭がつかめない感じ。即物的で分かりやすいものしか選ばれない傾向が世の中にあるのかもしれない。それも分かる。
最後にまた書きます、落語のこと。ちっちゃい「余波」を感じましたとも。逮捕後2度、落語会に行った。2つとも出演者が5、6人。このうち半分くらいがマクラ(本題に入る前のお話)でホリエモンに触れていた。「皆さんが笑っている間、3畳半の部屋で過ごしている方もいるわけで」ってな具合。みなまで言わずとも…である。今なら落語に限らず、生のものに行けばどこに行ってもそうなんだろう。
そういえば欲を扱った話のマクラで、こんな歌が紹介されることがある。「欲深き 人の心と降る雪は 積もるにつれて 道を失う」。うまいね。
January 31, 2006 12:00 PM
