2006年01月29日
シロクンを見にきて:岡山俊明
シロクンをご存じでしょうか。競馬に興味のない人にも、ぜひ見ていただきたい特別な馬です。中央競馬に在籍する約8000頭の中でたった1頭しかいない「白毛馬」なのです。馬体は頭の先からしっぽまで透き通るような白さ。日光が当たるとまぶしく光る。あまりに目立つから、美浦トレセンの馬道を歩いているだけで皆が振り向くのです。黒目の部分が右目より左目の方が小さくアンバランスで、左目には鮮やかなブルーが入っています。愛嬌(あいきょう)のある名前からオーナーの愛情が伝わってきます。明日29日、東京競馬場で2戦目のレースに臨みます。
デビュー戦は、5日の中山競馬場でした。新聞各紙に印はほとんどついていませんでした。つまり調教の内容から好走する確率は低いとみられていました。ところが驚いたことに、発走直前まで単勝3倍台の1番人気に支持されていたのです。最終的には7・7倍の4番人気まで落ちましたが、単勝馬券を買った人のほとんどが、いわゆる記念馬券として購入したと思われます(馬券にはシロクンと印字される)。単勝票数は1万8865票。約1万人が熱烈なファンだと推測されます。潜在的なファンはもっと多いでしょう。本馬場入場の際はカメラを手にした人たちが、馬の歩みに合わせて場所を移動しながらシャッターを切っていました。盛り上がってましたねえ。
4コーナーを回ってジョッキーの手応えが怪しくなった時、場内アナウンサーが絶叫しました。「ちょっとシロクンは遅れた」。その瞬間、スタンドがドッと沸いたのです。やっぱりダメかあ。ほのぼのとした笑いと落胆のため息がターフに注がれました。普段のレースでは起こりえない現象でした。勝者がたたえられる競馬ですが、このレースに限れば主役はシロクンでした。着順は9着。6頭を負かしました。
日本初の白毛馬ハクタイユーの誕生から、27年がたちました。計16頭が生まれ、地方競馬で2頭が勝ちましたが、中央ではまだ先頭でゴールした馬はいません。シロクンは夢とロマンを背負って走ります。もしも活躍して人気種牡馬にでもなったら、白毛馬が飛躍的に増える可能性を秘めています。
競馬は3冠馬ディープインパクトの出現で盛り上がっています。1800万円を超える高額配当が飛び出した3連単も定着しました。競馬にはさまざまな楽しみ方があります。「この容姿だから騒がれるのは仕方ないよ。お母さんの時もすごかった。そのうち勝って話題を集められたらいいね」。白毛の母シラユキヒメも担当したベテランの佐々木厩務員は願っています。
「1度使ってガラリと変わったよ。デビュー前は朝カイバを少し残していたのに、平らげるようになった。3着ぐらいに来てくれないかな」。馬の体調はいいようです。1度ご家族で、友人、恋人同士で応援に出掛けてみてください。歴史的瞬間を目の当たりにできるかもしれません。
January 29, 2006 01:46 PM
