記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年01月28日

李の巨人移籍成否は?:千葉修宏

 今回のコラムは、今年から巨人でプレーすることになった“アジアの大砲”李承燁(イ・スンヨプ)選手(29)について書きたいと思います。僕は彼が韓国サムスンから日本に来た04年にロッテを担当しました。入団発表前にもかかわらず、ソウルで夫婦そろってインタビューを受けてもらったこともあります。彼には本当に日本で成功してほしいと思って、ここまで見てきました。

 この2年間、李選手はかなりの進歩を見せました。04年は日本の投手の攻めに苦しみ、わずか14本塁打。韓国で“アジア記録”となるシーズン56本をマークした強打者の面影はありませんでした。もともと体が投手方向に突っ込んでしまうタイプで、高めの速球と、フォークなどの落ちる球種を組み合わされると、お手上げといった感じでした。

 ですが昨年は、見事30本塁打を放ち、完ぺきではないものの日本野球への適応を感じさせました。相手の攻め方を理解してきたことと、ボールを長く引き付けて見極める技術が向上した成果でしょう。だから今年はロッテの主砲として、さらなる活躍を見せてくれると思っていました。

 その李選手が先日、突如(と言っていいと思います)巨人への入団を決めました。昨年暮れから代理人、水戸重之弁護士とロッテとの間で再契約の方向で話が進められていましたが、決裂。1月13日には水戸弁護士の要請で李選手が自由契約となり、約1週間後の19日には巨人と契約を結びました。

 僕は別にアンチ巨人ではないし、李選手にはセ・リーグで活躍して欲しいと思っています。ただ今回の巨人入りに関しては、理解できない部分も多いです。ロッテの年俸提示(出来高含め2億5000万)に不満を持ちながら、それより低額の巨人の提示(契約金含め年俸2億1000万)を簡単にのむなど、言っていることと、行動が伴わない感じが否めません。

 李選手は、07年の大リーグ入りを目指しているそうです。しかし、再びセ・リーグの投手を一から学び直さなければならない巨人入りは、メジャーへの最後のアピールに向いているとは思いません。李選手はDHとしての出場ではなく、守れるところも見せなければ米移籍は難しいと考えているようですが、彼の持ち味は長打力。セ・リーグにはDHがない分、出場試合数自体が減る可能性だって十分あります。そうなれば、結果的に打撃でのアピールだってできないことも考えられます。

 韓国球界の関係者が「巨人は日本のヤンキースだから。ファンも自国のスターが巨人でプレーするのはうれしいし、本人もそう思ってるんじゃないですか」と言っていました。確かにあこがれの球団でプレーしたいという気持ちは分かります。今回の巨人入りだってルールにのっとったもので、いちゃもんをつけられるいわれはないでしょう。ですが巨人へのあこがれの代償として、最終目標である大リーグが遠のく可能性があるとしたら…。答えは今季終了後に出ます。

January 28, 2006 11:38 AM