記者コラム「見た 聞いた 思った」

2006年01月27日

プロなら個性がなきゃ:荻島弘一

 「月9」で西遊記が始まった。孫悟空、猪八戒、沙悟浄が三蔵法師のお供をして旅をする話。最近は暗いドラマも多かったので(それはそれでいいけれど)、水戸黄門的な安心して見られるドラマは逆に新鮮で思わず見てしまう。夜9時からは少し遅いとは思うが、子供も十分に楽しめる。

 ただ、終盤になって黄門様が印籠を、じゃなくて悟空が如意棒を振り回す場面になると、どうしても頭の中にゴダイゴの「モンキー・マジック」が流れてしまう。悟空の堺正章らが、夏目雅子の三蔵法師と旅をする。78~79年に放送された伝説的なドラマだ。

 その昔の西遊記が、MXテレビでは日曜日の夜8時から再放送されている(29日が最終回)。すでに30年近く前のドラマだから、特撮場面も今とは比べものにならないほどお粗末だが、理屈抜きに楽しめる。ゴダイゴの音楽とともに、登場人物が強烈なオーラを放っているからに違いない。

 あのドラマの印象が強烈だっただけに、今の配役は我々のイメージには合わない。どうしても2つを比べてしまう。「やっぱり欲望丸出しの豚は西田敏行だよ。電車男が豚じゃなあ」とか「とらえどころのないカッパは岸部シローじゃなきゃ。ウッチャンはいい男過ぎるよ」なんて、友人たちは構わずに毒舌を吐く。確かに、前のイメージが強すぎると、なかなか新しいイメージが生まれない。

 開幕を控えるJリーグにも、強烈すぎるキャラクターがいる。ラモスとカズ。J2の東京V監督に就任したラモスは、連日報道陣にネタを配りまくる。選手時代は大嫌いだった雪かきを率先してやり、若手選手の話になると「じょーだんじゃあないヨ」とまくしたてる。同じJ2の横浜FCで「監督補佐」に就任したカズは、練習初日に蛍光オレンジのコートで現れ、周囲の度肝を抜いた。人工芝で練習しようが、プレハブで着替えようが、キングはキング。時と場所を選ばず、強烈なオーラを放つ。

 強い個性を持った選手は露出も増える。新聞でも、テレビでも、取り上げる頻度は高くなる。「今季のJ2は面白い」と言われるのも、そういうキャラクターがいるからだ。ラモス監督は「最近の選手は個性がないよ。プロじゃないよ」とほえた。プレーの上でも、人間的にも、個性的な選手が増えれば、Jリーグはもっと盛り上がるはずだ。

 J1の横浜は今季「メディアへの露出度アップ」を目指すという。露出はファン層拡大や集客力のアップにつながる。プロだから、当然だとも思う。ところが、J1のクラブの中には「練習の取材はしないで欲しい」とか「書くのは試合だけでいい」というところもある。ラモス監督ではないが「じょーだんじゃないヨ」だ。ファンにアピールできなければ、個性ある選手も生まれて来ないと思うが…。

 もっともっと魅力的な選手が出てきて欲しい。堺悟空や西田猪八戒のように、30年近くたっても語り継がれるキャラクターが生まれて欲しい。戦術やシステムの話だけではなく、酒の席は選手のキャラクターの話題で盛り上がりたいから。

January 27, 2006 10:16 AM