2006年01月26日
証人喚問“共闘”せよ:桐越聡
目の前にいる国会議員に紛れてやじを飛ばしたい-。そんな思いに駆られた。
耐震強度偽装問題をめぐる衆院国土交通委員会の証人喚問。約2時間続いた質疑の最後にヒューザーの小嶋進社長(52)は問い掛けられた。
糸川正晃議員(国民新党) 「証人喚問とはどのような場だと、お考えですか」。
小嶋社長 「え~。私、正確には存じ上げておりません」。
証人喚問を自ら望んだのではなかったのか…。最初から下を向いて時間の経過を待つような態度にもあきれた。証人席は記者席から3メートルほどの距離にあるから声は届くだろうが、まさか叫ぶわけにもいかない。「フゥ~」と、ため息をついて我慢した。
幾つかの事実が明らかになったとはいえ、何となく物足りなさが残る証人喚問だった。証人が証言を拒むことは法律で認められているのだから、こんな“作戦”に出てくるのは十分に予測できたはず。攻めあぐんだ感じがあって正直、もどかしかった。
たくさんの質問を準備していたのはいいが、回答や証言拒否にかかわらず次々と質問を読み上げるだけでは追及にならないのではないか。「あらためて」と断りは入れていたが、複数の議員が似たような質問を繰り返すのは時間がもったいない。「時間がありませんから…」と聞くたびに歯がゆいような思いがした。
数日前、冒頭の質問をした“新人”糸川議員を国会内の事務所に訪ねる機会があった。小嶋社長に質問した時の話を聞いていると糸川議員は「証人喚問のシステム自体が、おかしいと思うんですよ」と話し始めた。「本来、証人喚問というのは与野党関係なく追及する場。議員同士がある程度の情報を共有したり、どんな質問をするとか、事前に打ち合わせがあっていいんじゃないかと思うんですが、それが全くない」。
「『こんな事実があった!』と探し出すのは大変なこと。もちろん、党の功績だと強調していいんですけど、それを証人に突き付けて二の矢、三の矢を出し切れないまま終わるんだったら、政党は違っても、後続の議員が追及したらいいんじゃないかと思うんです」。なるほど、と思った。
こんな“提案”は国会では「青い」と退けられるのかもしれない。もちろん政党同士が、なあなあの関係であっては困るし、それぞれの立場から独自に追及していくのは大事だと思う。しかし、今回のように国民が被害者になったような場合には“休戦”し、野党だけでも共闘していくのは無理な話なのだろうか。小嶋社長の証人喚問も、野党の共闘が実現していれば、もっと違った展開になっていたような気がしてならない。
小嶋社長との関係がウワサされる自民党の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問を求める声が増しているが、釈然としない証人喚問はもうたくさんだ。誰の厳しい追及がそれを面白くし、誰の優しい質問がそれをつまらなくしてしまうのか-。被害者の救済や再発防止に向けた真相の解明が最優先されるのを前提に、エキサイティングな証人喚問が見たい。
January 26, 2006 10:32 AM
