2005年12月31日
映画の魅力、新旧なし:小林千穂
今年もいい映画にたくさん出会った。
28日に、日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞授賞式が行われた。「パッチギ!」や「ALWAYS 三丁目の夕日」といった温かい作品がたくさん賞を取った。本当にいい作品に出会えて良かった、楽しんだな、と純粋に思えた。この2作品は、社内でも観賞率がすごく高くて、私がいる部の平均年齢40ン歳のデスク4人では観賞率100%だ。月に何回か夜勤番があるのだが、そういう時はゆっくりデスクと話す時間があったりする。当番デスク2人がどんな組み合わせでも、1度は両作品の話が出たような気がする。ああだこうだと話しだすと結構尽きなかったりして、こんなにいろんなパターン、バージョンで、特定の作品について話すことは珍しいもんだな、と思った。
「パッチギ!」は最初、東大の講堂で行われた試写会で見た。講堂も超満員。寒かったし、いすは硬かったし、映画を上映する環境としては決して良くはなかったけど、最後にはその状況を忘れて入り込んだ。学校で上映してくれた映画で入り込んだのは、中学のころ、オリビア・ハッセー好きの体育教師がお薦めした「ロミオとジュリエット」以来だ(保健の時間に見た)。映画を見て、監督の話聞く東大の講義、うらやましかったなあ。
「ALWAYS-」は劇場で、真夜中すぎ開始の回にもかかわらず、8割以上埋まっていた。酔っぱらいもカップルもいた。思い入れありそうなおじさんが、上映中にスクリーンを指さしながらデカ声量で「そういえばさ~、ああいう家がさ~、車がさ~、冷蔵庫がさ~。懐かしいよ~」と隣の人に話し続けていた。劇場の状態は、この映画の吸引力そのままだった。映画館へなかなか足を運ばなかった人たちも集客したというのは大げさではない。おじさんはうるさくてうっとうしかったけど、今となってはこの映画を語るほんの少しの材料をくれて、ありがとうってな感じだ。
楽しい出会いは新作だけではなかった。映画大賞授賞式前日の夜、会社の大先輩から薦められて「瞼(まぶた)の母」という、62年公開の東映作品を見た。幼いころに生き別れた母の面影を求めるヤクザな男「番場の忠太郎」が主人公。舞台は江戸でも、どの時代にも通じる普遍的な母恋しのストーリーだ。翌日早起きしなくちゃいけないし、ちょこっとだけ見て、残りは後日になんて思っていたのだが、中断できなかった。「ちゅ、忠太郎~、しっかり~」と、もしかしたら間違っているかもしれない声援を送りながら最後まで見た。恋愛ものより親子ものに弱いとは思っていたけど、やっぱり泣いた。
その先輩が教えてくれなかったらきっと、出会えなかった作品だろうと思うと、縁もひっくるめて思い出深い1本になった。来年もいろんな映画との出会いや縁を楽しみに、忠太郎に触発された私は、おっかさんに会いに故郷に帰ろうと思う。皆さま、良いお年を。
December 31, 2005 10:18 AM
