記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年12月28日

プレー以外も魅せて:千葉修宏

 松井秀喜外野手(31)が所属するニューヨーク・ヤンキースに、ライバルのボストン・レッドソックスからジョニー・デーモン外野手(32)が加入しました。ボストンから1時間ほどの町に住む知人は「金で魂を売ったのか」と落胆。某野球関係者は、4年5200万ドル(約60億円)という松井と同額の契約を勝ち取った代理人ボラス氏の手腕にあきれていました。でも今回書くのは、お金の話ではありません。

 デーモンといえば“原始人”とも呼ばれる2年間伸ばしっぱなしの長髪と、ひげがトレードマーク。一方のヤ軍は、スタインブレナー・オーナーの意向もあって規律を重んずるチーム。長髪、ひげは禁止となっています。「そんな球団に入って大丈夫なのか」といらぬ心配をしていたら、見ましたか? 数日前の新聞。ニューヨークの美容室で、あっさり散髪しちゃってるじゃないですか。

 確かに、ひげもすっきりそり落とし、いい男度はアップしています。でも、それでいいのか、ジョニー! 今年も何試合かレ軍戦を取材し、昔の姿を間近で見ているだけに、あのさわやかデーモンを見た時には…。ラミレス、オルティスらそうそうたるメンバーを擁する野武士軍団の切り込み隊長として活躍していた姿と、ニューヨークの美容室でニカッと笑っている姿のギャップがありすぎて。あれじゃ完全にギャグですよ~(苦笑)。

 スポーツ選手の身だしなみって、よく問題になるじゃないですか。ちょっと奇抜な格好をしたりすると「子供がまねするから、やめろ」って。最近でいうと、オリックス入団が決まった清原選手。巨人時代につけていたピアスは、年配の球界関係者なんかは、まゆをひそめてましたから。

 でも、プロ野球選手はエンターテイナーだと思うんです。純粋に技術だけを追求するなら、アマチュアでいれば良いこと。よく「プレーを見て欲しい」という選手がいますが、技術で魅せるのは必要最低限、当たり前。プラスアルファがあるからこそ、プロなんじゃないでしょうか。そういう意味では、楽天のマスコット「Mr.カラスコ」の契約交渉が不調に終わった話題とか最高に面白かったし。ボサボサ頭(失礼!)のデーモンが、野球選手は紳士たれというヤ軍でプレーするところも見たかったなぁ。

 だからといって誤解しないで欲しいのは、僕はピアスとか長髪を特に奨励しているわけじゃありません。プロだったら、賛否両論あってもファンの話題に上る方が大事だと思うのです。今年引退した元ロッテの初芝清選手が言っていました。「昔は酒飲んだ翌日に試合するなんて当たり前だったよ。でも、またその夜も飲みに行っちゃうんだよね。今はそういう豪快な選手もいなくなっちゃったけど。寂しいよねぇ」。ホント、その通りですよね。

 無理にそうする必要はないけれど、個性的な選手を型にはめる必要はない。デーモンの長髪がニューヨークの美容室の床に寂しげ!? に落ちている写真を見ながら、そんなことを思いました。まぁ散髪もファンの話題に上ったからいいのかもしれないけれど。

December 28, 2005 10:35 AM