記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年12月04日

育成選手からヒット:上野耕太郎

 最近、北海道で「不思議な」ものが売れている。ジンギスカンキャラメルだ。食品メーカーの札幌グルメフーズが昨年6月に製造、あまりに忠実に再現したその味は強烈だ。ぜひとも機会があればチャレンジしてほしい。北海道のラジオ局で同社が自虐的にその商品をアピール。テレビ番組でも紹介されたこともあり「まずそう」「ちょっと怖いけど食べてみたい」という消費者心理を逆手にとって売れに売れている。

 世の中、何が幸いして好転するのか、さっぱり分からない。

 「たなからぼたもちとはボクのためにあるのかというくらい」「新幹線もグリーンですよ、グリーン」とトンデモ発言を連発し、バッシングを受けた自民党の杉村太蔵衆院議員も今やしっかり、人気者だ。街頭では人に囲まれ、笑顔をみせる。応援演説でも候補者を押しのけるほどの露出だった。脇の甘い発言が「正直でかわいい」という認識に推移している。今後、その評価がどう変化するのかは分からないけど…。

 さて本題。プロ野球界で初の育成選手選択会議が1日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で開催された。この育成選手は1軍の試合に出場することはできない。背番号も100番以降。最低参稼報酬は年額240万円となっている。その名の通り、育成を目的とし、将来の一流選手を目指していく。通常のドラフトがプロ入りの夢をかなえたというならば、この育成選手選択会議で指名された選手は大きくその夢に近づいたことになるだろう。

 四国アイランドリーグからは2選手が指名された。少ない賃金で夢を実現させようとしている選手にエールを送りたい。そして、思う。1年後、2年後。その力を見せつけてくれと。

 プロの世界を取材していてもやっぱり、何が幸いするか分からない。

 実力があっても首脳陣の評価が低いこともある。同じポジションに有力な選手が集まり、出場機会が少ない可能性もある。指導者によって突然、その才能が開花することだってある。各球団で違うと思うが、育成選手の獲得に向け重要視されるのは「売り」だ。全体のレベルはプロまでもう1歩だが、肩が強い、足が速いといった魅力を持つ選手がピックアップされているように思える。チームに育ててみたいと思わせる何を持っているか-、それがカギだ。

 ジンギスカンキャラメルも開発段階で「まずいから発売はやめよう」となっていたら、こんなブームは起こっていない。人気が出始めている杉村衆院議員だって選挙に出ていなければただの若者だ。

 確かに育成選手は枠や規制があり、活躍してもすぐに1軍の舞台とはいかない。周りの選手と自分を比較してしまうこともあるだろう。でも、このチャンスを生かしてほしい。やっぱり、回り道してでも自分の夢を貫きたいという選手に自分を重ね合わせていく。今回の育成選手から球界を代表する「ヒット商品」が誕生して欲しいって、心から願う。

December 4, 2005 10:28 AM