記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年11月21日

生活速度のものさし/小林千穂:小林千穂

 妄想だけで現実逃避するのに限界を感じてきたので、魔法をかけてもらおうと、出張ついでに香港ディズニーランドに行ってみた(デスク、あくまで「ついで」です)。9月にオープンして以来、お客さんの入りがイマイチと聞いていたので、どれだけガラガラなのか見てやろう、という意地悪な気持ちもあったわけで。

 結論から言えば、適度に込んでいたけど、勝ち組テーマパークとしては許されない、ってところ。2時間待ちは当たり前という東京が込みすぎなのかもしれないが、人気アトラクションでもほとんどが30分以下。滞在時間約4時間、主なアトラクションはすべて制覇、お昼も食べ、偽物っぽいミッキーがわんさか並ぶショップもちゃんと見た。

 スッカスカ加減を感じたのは人の少なさだけじゃない。何もかもがユルくって面白かった。ランドマークの「眠れる森の美女城」は高速道路から見えるラブホテルみたいだし、岩肌むき出しの山が丸見えで、下水工事始まっちゃうし。テンション上げようと、3割増しで絶叫してみたけど、魔法にかかるまでもなかったような…。

 でも街中では、ディズニーのアトラクションよりもスリリングな乗り物に出会ったのです。それは地下鉄のエスカレーター。これが速い、速い! 目線の問題もあって、下りの体感速度はスペースマウンテン並み(?)。手すりを持たないと怖いくらいで、タイミングを逃すとちょっとヒヤッとする。この弱者に厳しい高速エスカレーターを、香港の人々は駆け降りるように使っていた。

 調べてみたら、香港地下鉄のエスカレーターは分速約45メートル。日本のエスカレーターメーカー最大手・三菱電機によると、東京の地下鉄では分速30メートルが一般的とのこと。デパートなどでは分速20メートルで運行する場合もあるという。2倍以上だ。そりゃ速いと感じたわけだ。聞くところによると、シンガポールの地下鉄エスカレーターは、香港よりもさらに速いんだそうで。うわー、乗ってみたい!

 東京でも、速いなと常々感じている駅があった。東西線日本橋駅、銀座線への乗り換えエスカレーターだ。東西線沿線居住者としてこれを機会に疑問を解消しようと、東京メトロに聞いてみると、混雑時間帯には分速40メートルで運行しているとのこと。やっぱり! 香港に近いじゃないか。ちなみに、東京メトロには約1800台エスカレーターがあって、速い所は20カ所ほどしかないという。ほかには千代田線の国会議事堂前駅、明治神宮前駅などがある。香港気分を味わいたければ、これらの駅にどうぞ。

 生活速度が速いところはやっぱりエスカレーターも速い。そういえば、香港ディズニーランド駅のエスカレーターは、街のものに比べてかなり遅かった。実は「マジックの始まりですよ~」って合図だったりして。意地悪な気持ちを捨ててもっと楽しめばよかったかな。

November 21, 2005 12:58 PM