2005年11月16日
モーれつに米牛不安:桐越聡
BSE(牛海綿状脳症)問題によって停止されていた北米産牛肉の輸入が、早ければ年内にも再開される見通しになった。
内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会は、北米産牛肉が、国産牛肉と同じぐらい安全なのかどうかを約2年間かけて計34回審議した。このほど、月齢20カ月以下の牛の脳や脊髄(せきずい)など、危険な部位を取り除いて輸入する約束が守られるなら、北米産牛肉は国産牛肉は同じぐらい安全だ、という意見をまとめた。
その専門調査会の座長が、意見を取りまとめた後、記者会見でこんな話をした。「安全対策が守られれば、国産牛肉と比べてリスクはそれほど変わらない。それを受け入れる人は買って食べればよいが、嫌な人は買わなければよい。選択は消費者がするべきだと思う」。意見を信じるのなら買えばいいし、信じないのなら買わなければいい。あとは皆さんが決めてください、そんな論理だ。
このような言い方を消費者はどのように受け止めるのだろうか。立場の違う3人に聞いてみた。
主婦(36)「食に限らず100%安全なんて世の中にはないから当たり前のこと。国産だって、オーストラリア産だって絶対に安全とは言い切れない。北米産牛肉を食べて変異型ヤコブ病になるかもしれないと心配するなら、食べなければいいだけ。農薬がたくさんかかっている野菜を食べるのと同じ。2人の子供には食べさせたくないから、安全だとハッキリ分かるまでは北米産牛肉は買わない。食の自己責任だと思う」。
男性会社員(32)「内閣府食品委員会とか、そんな立場の人間が言うのはおかしいと思う。買う、買わないは消費者の判断だというのは、安全かどうかを消費者が判断しなさいと言っているのと同じ。変異型ヤコブ病になったら責任は消費者にあるの? 輸入は政府が許可してあとは知らないというのはおかしい。食堂には北米産牛肉使用という表示義務がないらしいから知らないうちに、という可能性があるんだから」。
精肉店店主(64)「陳列だけして消費者に選んでください、という手法は大型店と同じ。学者の先生方はそれでもいいんだろうけど、血の通った商売を意識している立場からすれば、消費者の選択だと突き放すのはあり得ない。脳とか危険な部位を取り除けば99・99%安全だと思っているけど、0・01%に不安を感じるお客さんがいるから北米産は扱わない。売るのは国産牛肉だけ。多少値段が高くても、安心して、おいしく食べられるのが一番じゃないの?」。
専門調査会の資料にはある1人の委員の意見が明記されている。「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取するリスクの同等性は、科学的にはいまだ不明であると言わざるを得ない」。月齢20カ月以下は間違いなく大丈夫なのか。漠然とした不安は打ち消せないままだ。
November 16, 2005 10:42 AM
