2005年11月10日
他人任せの「どうせ」:岡本学
「どうせ、ウチは弱いから」とか「どうせ、ホームスタジアムがよくないから」というような発言を、何度も耳にしていた。昨季までサッカーJ1リーグの観客動員で8年連続最下位(今季も29節終了時点で最下位)と低迷するジェフユナイテッド市原・千葉の関係者が、ホームに観客を呼べない理由として、この2点を挙げていた。
そんな千葉が、5日決勝のJリーグナビスコ杯でJリーグがスタートして13年目で悲願の初タイトルを手にした。シュート数こそ倍の22本を浴びたが、日本代表MF阿部を中心に粘り強い守備で、JリーグNO・1の攻撃陣を誇るG大阪を完封。結果的にはPK戦での勝利だったが、先手をとったオシム監督の選手交代、鍛えられた「若き」イレブンが走り勝った終盤の勢いが、優勝につながったように思う。千葉を93、94、04年と3シーズン担当した記者として、優勝を心から祝福している。心からおめでとう、と言いたい。そして、これからの一層の飛躍をチームには期待したい。
10月16日にはJR蘇我駅から徒歩圏にサッカー専用スタジアム(フクアリ)がこけら落としを迎えた。冒頭の「どうせ、ウチは弱いから」「どうせ、ホームスタジアムがよくないから」という言い訳はこの秋に一気に解消。ナビスコ杯優勝を飾った「11・5」はチームにとって、転機にならなければいけない記念日だ。
ただ、少し心配もしている。ナビスコ杯決勝を前にした10月、チーム関係者は晴れ舞台の観客動員へ積極的に動いていたようには見えなかった。「どうせ、たくさん入っても(決勝は)Jリーグのもうけになるだけだから」。このたぐいの発言を05年の担当記者から報告され、観客動員に必死で動き回ったJリーグ事務局の関係者から聞き、さらに自分自身でも耳にした。G大阪はバス20台の応援ツアーを実施し、チームスポンサーになっている飲食チェーンを決勝のサブスポンサーに決めた。各店長を国立に集めてチームの晴れ姿を見せ、スポンサーとしての支援継続を訴えた。「結果的にそこそこ入りそうだから良かったね」。4日の決勝前夜祭で「他人任せ」といわんばかりの発言をした千葉関係者の姿勢とは雲泥の差だ。
千葉からすれば、残り3試合があるフクアリでのリーグホームゲームの動員に必死なのだろう。だが、ナビスコ杯決勝という絶好のアピール舞台を前にしても「どうせ…」の発言が出た時には残念でならなかった。「どうせ」という言葉を辞書で調べると「宿命的にそう決まっており、それ以外に選択の余地は無いことを表す」(三省堂・新明解国語辞典)とある。千葉関係者が口にしてきた「どうせ…」は「あきらめた」というようにしか聞こえなかった。それも、もう通用しない。「客が入らないから」とここ数年は年俸を抑えられながらも、あきらめず、プロとして結果を出した選手たち。これに報いる、千葉フロントの結果にこれから注目していきたい。
November 10, 2005 11:14 AM
