記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年11月08日

ロッテよ大リーグを本気にさせろ:千葉修宏

 来年3月に“野球のW杯”ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されます。出場する可能性の高いペドロ・マルティネス(ドミニカ共和国出身=大リーグ・メッツ)やロジャー・クレメンス(米国出身=同アストロズ)といった世界最高の投手たちと、日本代表がどのような戦いを繰り広げるか。個人的には大いに注目したいところです。

 ただWBCは、ファンにとって興味があるものかもしれませんが、選手の立場からすると複雑な思いを抱く大会ではないでしょうか。W杯の歴史があるサッカーと違い、プロ野球選手は国を代表して戦った経験があまりありません。その上、例年ならシーズンへ向けた最終調整を行っている時期。果たして名誉だけのために、3月に100%の力を発揮できるように仕上げてくるのかどうか。正直、ケガを心配している選手は多いでしょう。

 それよりロッテ・バレンタイン監督が提唱している、球団対抗の世界一決定戦”を実現させた方が、ファンにも、選手にとってもありがたいのでは。そういう意味で、絶対に成功させて欲しいのが、10日開幕の「アジアシリーズ」。日本、韓国、台湾、中国の優勝チームが集まり(中国だけ混成チーム)、王者を決定するものです。

 この大会が盛り上がらなければ、その先の「アジア王者対米国王者」という図式も見えてきません。アジアのレベルの高さを示して、大リーグ側に「これらのチームと対戦すれば興行的にも成功する」と思わせたいところ。それには今大会を、今までオフに行われてきた日米野球のような“お祭り”にしてはいけません。日本を代表するロッテには、他チームを蹴散らすぐらいの意気込みで、真剣に戦って欲しいです。

 ところで各国の野球のレベルはどれぐらいなのでしょうか。昨年、シーズン56本塁打の“アジア記録”を持つ李承■選手が、サムスンからロッテに移籍してきました。しかし1年目の結果は打率2割4分、14本塁打、50打点。ロッテの同僚で、今年のベストナインにも輝いたフランコ選手は当時、なぜ李選手が満足のいく成績を残せないのかを説明してくれていました。

 同選手は「米国、日本、韓国では、投手の平均球速が5キロくらいずつ違う感じがする。その5キロが大きいんだ。日本ではそこにフォークなどの縦の変化が加わる。李にとっては初めて体験する球、攻められ方ばかりで、対応するのに時間がかかるのは仕方がない。でも彼に才能があるのは間違いないよ」と話してくれました。

 ある国際スカウトに聞いたところ、今オフ、韓国球界には、日本や米国でプレーできそうな選手が2、3人。台湾も同じような状況だそうです。それを考えるとリーグのレベルは日本が一枚上でしょう。チームとしても、ロッテの統計担当プポ氏は「今、分析中だけどウチの方がサムスンより強いよ」と言います(台湾の興農、中国チームの実力ははっきりとは分かりませんが)。

 それでもロッテには手を抜くことなく圧勝して欲しい。そうすることで来年、さらに他チームが目の色を変えて戦いを挑んでくるでしょう。それが大会の盛り上がりを生み、アジアのレベルアップとなり、最終的にはクラブ世界一決定戦へとつながるのです。

※■=火へんに華

November 8, 2005 11:44 AM