2005年11月05日
小橋いつでも「最高」:横田和幸
プロレスの興行が成功したか否かは、観客数だけでは測れない。あくまでも成功への第1関門であり、観客の立場になった場合、その数はどうでもいい。要は支払った入場料の対価として、満足感が得られたかどうか。会場からの帰路、例えば電車内でその答えは分かる。
「いやぁ、今日の試合は、最高やったわ」と感嘆し合う会話があれば、「最近の○○は、ホンマ、おもんない」と、具体名を挙げて怒りの言葉が飛び交ったりする。最近の団体は3000円から、1万円超の入場料金が相場。彼らはお金を払った以上、シビアに判断している。
ここからは私の独断と偏見。50以上の団体乱立時代で、圧倒的支持を得ているのは、団体ではノア、選手だと、前GHCヘビー級王者の小橋建太(38)と確信する。「ノアの興行に外れナシ、小橋の試合に最高以外ナシ」。私が作った格言だが、帰路の電車内は興奮した観客が、実際、絶賛の言葉を並べている。
10月28日の大阪府立体育会館もそう。メーンの6人タッグで、小橋は全日本時代から大先輩の天龍源一郎(55)と初めてタッグを組んだ。17歳上の大先輩には当時から、認められたことはない。天龍がノアに初参戦した今年1月以降、会場で目を合わせてくれたこともない。要は存在自体を無視されていた。小橋は燃えていた。
「天龍さん、オレと会場で会っても、絶対に会話もない。今度のタッグは、最初で最後になるかもしれない。対戦相手が敵ではなく、あのオッさんと勝負したい。向こうがチョップを10発打てば、オレは11発。100発だったら、オレが101発!」
大人げないかもしれないが、こういった感情表現ができれば、試合は自然に盛り上がる。天龍に負けじとチョップを連発。呼吸せずに放つ無酸素チョップまで披露し、天龍のほぼ2倍にあたる50発のチョップを打ち込んだ。日本プロレスの父、力道山の空手チョップが空前のブームとなって半世紀。練習では壁に向かって練習するという鉄人チョップで、場内を興奮させていった。
その試合後、小橋は天龍に握手を求めるドラマが起きた。日刊スポーツでは「歴史的握手」と報じた。互いに存在を認めない平行線を歩み続けた過去を考えれば、これ以上のドラマはない。
この日詰め掛けた4400人の観客は、再びノアを、小橋の試合を見たいと思う。こういった積み重ねが、7月18日の東京ドーム大会に、6万2000人という驚異的な動員を図れた理由なのだろう。
こうなれば、小橋と天龍の定期的なタッグを結成してはいかがか。全日本が誇る最強タッグリーグ戦と同等のタッグイベントを開催すれば、ノア人気は盤石となるのではないか。三沢社長には、ぜひ、ご一考を願いたい。旗揚げから5年3カ月。ノアの顧客満足度は、右肩上がりを続けていくはず。再びプロレス黄金時代の主役を担ってほしい。
November 5, 2005 03:12 PM
