記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年10月28日

一緒に戦うロッテファン:荻島弘一

 千葉ロッテが日本シリーズで圧倒的な強さを見せている。別にロッテファンではないけれど、プレーオフから続く感動的な試合に、ついついテレビを見入ってしまう。何よりも感動的なのが、その応援スタイル。以前から「12球団一」と言われてきた応援だが、実際に見る機会は少なかった。しかし、このシリーズで全国的に知られただろう。

 外野席ではレプリカユニホームに身を包んだ若者たちが、立ち上がって声援を送っている。旧来の野球にあったようなメガホンを使った応援ではない。声と拍手で選手を鼓舞する。統制のとれた応援は、チームにとって大きな力。バレンタイン監督も、選手も、お立ち台では大勢のファンへの感謝の言葉を忘れない。

 多くの若者たちが一斉に立ち上がり、手を前方に伸ばして跳びはねる様子は、何かに似ている。そう、Jリーグのゴール裏だ。サッカーで一般的になった「サポーター」が、プロ野球にもいた。相手チームの選手にも拍手を送り、試合後にはゴミ拾いまでして帰る。02年に毎日スポーツ人文化賞で表彰された応援団は、チームの誇りでもある。

 最初にバレンタイン監督が就任した95年がきっかけだったという。「何か違う応援を」という考えから、今の応援に行き着いた。Jリーグや大リーグも参考にして、独自のスタイルをつくり上げた。自然発生的にサポーターズクラブができ、遠征では応援ツアーなども企画されている。

 今までのファンと違うと感じるのは「ともに戦う」という意識だろう。もちろん、これまでのファンに意識がなかったわけではないが、より選手やチームとの距離は短くなった。その象徴が永久欠番「26」だ。

 スタンドに「26」と書かれた巨大なフラッグ(75メートル×15メートル)が掲げられるようになったのは03年から。ベンチ入りする選手は25人、ファンも26番目の選手としてともに戦うという意味だ。これに応え、球団側も今季から「26」を永久欠番とした。Jリーグのチームが「12」を欠番としているのに似ている。ちなみに、プロ野球の楽天も「10」が欠番だけれど。

 ブラジルとイングランドの通信員から、同じような話を聞いた。応援するチームが負けた時に「自分のチームが負けた」と言わずに「自分が負けた」というのだという。一緒に戦っている意識が強いからこそ「自分が負けた」になる。その思いは選手へのプレッシャーにもなるが、同時に選手の大きな力にもなる。

 かつてスポーツは「やるもの」か「見るもの」だった。今は、ここに「参加する」という選択肢が加わった。プレーする選手たちに感情移入し、自分たちも試合に参加するという感覚。単に選手を応援するだけでなく、選手と一緒に戦うという意識。それが、特別なことではなくなった。スポーツへのかかわり方には、いろいろな形がある。応援のスタイルも、人それぞれだろう。ただ、新しい形としてロッテの応援がある。そういうものが出てきたことが素晴らしいと思う。

October 28, 2005 09:52 AM