記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年10月22日

「イメージ」を大切に:小林千穂

 最近、私にとってちょっと衝撃的なニュースがあった。映画「スター・ウォーズ」シリーズのダース・ベイダーが、タスキを掛けて、札幌の地下鉄で1日駅長をやっていた。写真を見て軽く「え、え~っ」とのけぞってしまった。ダース・ベイダーといえば、このシリーズの主役と言ってもおかしくない。黒ずくめの衣装、ボイスチェンジャーを通した低音ボイス、空をつかむだけで離れた相手を倒す圧倒的な強さ。悪の権化なんて言われているキャラクターだが「ダークサイド、落ちてもいいかも」「コスプレするならベイダーがいいな」みたいな魅力があるんですよ。なのに、なのに、タスキを掛けて立っている彼はめちゃめちゃ弱そうだった…。

 今年7月の「エピソード3」公開前後に、某チョコレートとタイアップしたCMにベイダーが出ていたのを見たときにも「あらら…」という悲しみを感じた。だって、強さを発揮する相手が、チョコレートに手足が付いたキャラクターなんだもん。いいのか、ベイダー! と思い、自分の中のベイダー像が崩れていくのを止められなかった。

 映画会社からの要請を受けてイベントを行った、スター・ウォーズのコスプレ集団は、その世界観をこよなく愛している人たちで、世界そのものに入っちゃおうってな考えなので、キャラクターイメージを守ることも大事にしている。ベイダーのコスプレをする場合には「手は振らない、頭は下げない」などのルールがある。それでも、関係者は「子供たちが寄ってきて、握手を求められたら無視できません」と話していた。ちなみに、福岡にもダース“駅長”ベイダーが出現したそうだ…。

 イメージつながり、映画つながりで、もう1つ。東京・銀座の映画館、丸の内ルーブルが12月から「サロンパス ルーブル丸の内」になるというニュースにも驚いた。施設命名権、いわゆるネーミングライツを、久光製薬が興行会社から取得したのだ。丸の内ルーブルといえば、天井に大きな戦艦みたいなシャンデリアがある場内を思い浮かべる。暗くなるのと同時に、その戦艦が上昇していく。学生の時初めて行って「東京の映画館はすごいなー」と、天井を見上げてしまったもんだ。

 映画館とサロンパスが頭の中でシンクロしないのは「慣れ」の問題が大部分なのだと思う。思い浮かべるのは「味の素スタジアム」の誕生。使用から2年余りだが「味スタ」と、名前が定着した証拠の略称で呼ばれている。サロンパスの方は契約期間は3年ということだが、3年後にはすっかり慣れているんだろう。まあ、劇場の名前で映画館を選ぶわけでもないんだし。

 ただ、私たちが思ったり感じたりすることの大半は、イメージに起因し、想像力で補われている。覆される驚き(いい意味の)もあるけれど、ちょっと大事にしたいものもあったりする。

 以上、心の中の小っちゃいイメージに保守的な、小っちゃい人間のたわごとでした。

October 22, 2005 10:38 AM