2005年10月20日
感じよう名馬の魅力:高木一成
「あの強い馬どうしてますか?」。
先日、競馬にはほとんど興味のない大学時代の後輩と飲んだときに聞かれた。1年ちょっと前に会ったときは「あの弱い馬どうしてますか?」だったのを覚えている。
前者は、今週末23日に京都競馬場で行われる菊花賞で3冠制覇を狙うディープインパクトで、後者は高知競馬で連戦連敗でも頑張る姿が話題となったハルウララ。競馬サークルの関係者は別として、ほんのちょっと前まで世間一般の人にとって一番有名だった馬は、「強い馬が勝つ」という競馬の本質とはちょっと外れたところにいる馬だった、ように思う。
だけど今回は違う。デビュー以来無敗で皐月賞、ダービーを制覇したインパクトの強さが、広く一般にまで注目を集めている。電車の中づり広告を見ると、今週発売の週刊誌の見出しに名を連ねているし、レース後はNHKで特集も組まれる。「社会現象」というのがどこまで当たっているかは分からないが、社会面のコラムで話題になってもいいぐらいの認知度はすでにあると思う。以前、1頭の人気に頼りっぱなしの盛り上げ方では「ディープこけたら皆こけた」で終わってしまうのではないか、と書いた。だが、もうそれで押してもいいのかなとも思いだした。何しろ競馬に興味を持ってくれる人が増えてくれればいい。
ちょっと弱気に聞こえるかもしれないが、昨年11月からこのコラム班に入って感じたのは、競馬ってこっちが思っているほど、ポピュラーではないのかなということ。テーマ設定や、個人の技量のせいかもしれないが、競馬ネタのときは悲しいぐらい反響がない。禁煙についてだとか、カジノに行っただとか、個人的なことを書いた方がはるかに反応がある。前回、マージャンのことを書いたときは「ぜひウチのジャン荘に遊びにきてください」というメールまでいただいたぐらいだ。
そういえば、昨年の年度代表馬ゼンノロブロイが今夏の英国G1に出走した時は、地上波でのテレビ中継なし。日本馬で史上初の米国G1制覇となったアメリカンオークスも同様だった。ほかの(個人的には)マイナーと思われるスポーツも、世界的な試合は少なくとも深夜では放送がある。そう考えると、競馬の露出はとても少ない。「好きな人だけ見ればいい」はあまりに視野が狭い考え。多くの人が見てくれて、その上で本当に興味を持った人が続けて競馬ファンになっていくというのが理想だろう。
話は変わるが、サッカーを始めたばかりの小学生時代、初めてテレビでブラジル代表の試合を見たとき「こいつらはすごいなー」と思った記憶がある。技術的にどこがうまいとかは分析できなかったし、点差が開いているから強いと評価したのでもない。どことなく漂う本物の雰囲気を感じたのだと思う。もしかしたら、今回のディープインパクトを見れば、これまで競馬に触れてこなかった人もそういう雰囲気を感じ取れるんじゃないか。
競馬を知らない人も魅了させてしまう名馬。そんな可能性を感じるからこそ、今年の菊花賞はぜひ、皆さんに見てもらいたい。
October 20, 2005 11:59 AM
