2005年10月13日
確率で回避は寂しい:栗原弘明
まったく「確率」というものはアテにならない。数年前のことだ。ちょうどいいマンション物件があり、申し込んだ。ある積み立てをしており、抽選になった場合、10倍優遇されることになっていた。申し込みが締め切られ、ほかに1人いたため、私の当選確率は11分の10となった。間違いなく当たると思うのは当然だろう。抽選機に1から11までのボールが入り、1から10までの数字が出れば私の当たりとなる。だが、目の前に出てきたボールはまさかの11。人生最大の買い物をしようとする時、ここまでツキがないとは…。起こったことが、しばらく信じられなかった。
10月3日のプロ野球ドラフト会議。これは例年になく「確率」が影響した。今年から制度が変わり、まず高校生ドラフトが先に行われた。1巡目で指名した選手が重複した場合、抽選となる。ここで外せば、ウエーバー順で成績下位チームから選手を指名していくことができる。例年なら1巡目の抽選で外した場合、次に指名した選手が再び重複しても、抽選のチャンスが生まれる。
だが今年から抽選は1回勝負。特に成績上位にいるチームはクジで外すと指名順で不利になる。幸運を信じてクジにかけるか、競争率の高い選手は避けるか…。結果、冒険しない「安全策」のドラフトになったという感じがした。
4、5球団の競合になるかと思われた大阪桐蔭の超高校級左腕・辻内投手の指名は結局、2球団に落ち着いた。指名されれば12球団OKの姿勢を明らかにしていたのに、である。抽選は辻内を含め、福岡一の陽内野手2球団、報徳学園の片山投手2球団となった。当然、それぞれの球団は制約の中で最高の素材と判断した選手を指名したと思う。だが少々、肩透かしの気持ちもした。ドラフト会議直前まで他球団の動向をにらみながら、競合がどれぐらいになるかを図っていた球団もあった。フタをあけてみれば1選手に集中することはなく、「バラけた」形になった。
高校生に逸材が多く、1巡目候補が多かったという事情もある。多球団競合のリスクを冒す必要はない、という判断が球団によっては働いたのだろう。ただ現行のドラフト制度が続いていくならば、過去にあった「目玉選手に指名が殺到」という事態は起こりにくくなる可能性もある。
果てには当たりクジが外れ、外れクジが当たりという勘違いまで起こる騒動になった。舞台裏の報道陣も混乱した。あんな勘違いが2回も起こるとは…。「絶対にクジは外せない」というプレッシャーが、抽選の紙を見間違うという事態を生んだのかも知れない。
確率というものはアテにはならないが、それだからこそ、ほれ込んだ選手には強運にかけてみるドラフトも見てみたい気がする。長い間、スカウトが追いかけ、評価した選手がいたのに「当たる確率が低いから」回避するのは、寂しいと思うのは私だけだろうか。
October 13, 2005 10:02 AM
