記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年10月02日

人間関係和らぐ方言:小林千穂

 最近、方言ブームなのだとか。書店には方言本コーナーもあり、バラエティー番組でも、地方出身芸能人が登場する「方言禁止!」なんてコーナーが人気だ。私もけっこう喜んで見ていたりする。女子高生の間でも方言を使ったやりとりをしているそうだ。本当なんかい、と思い渋谷のセンター街で女子高生たちに聞いてみた。メールを見せてと言ったら「『個人情報』っていうんだよねー」と言った子もいて、ちょっとびっくり。ま、それはさておき…。

 まずは基本NO・1は、だべ。「『だべ』はもう標準語だし」なのだそうだ。神奈川県南部、横須賀や湘南の方言だ。ある子は「『だべ』って方言なのかなって思うくらい、普通に使ってる」と。基本NO・2は「なまら」。北海道の方言で「とても」という意味。「ダサかわいい」のだそうで。

 女子高生たちのニューカマーは広島弁。「仁義なき戦い」のイメージですか? いやいや、かわいさがすべての基準の彼女たちにとっては「ほいじゃけー」(だから)が1番人気だった。確かに、ちょっとかわいらしいかも。さらに、次にきそうな方言は名古屋弁なのだそう。「あっ、河村たかし(衆院議員)?」と聞いてしまいましたが、「誰それ」と一蹴され…。気を取り直して、どんな名古屋弁がかわいいのかと聞いてみると、ほったらかすの意味の「ほかっとく」がいいんだと。「でら」(とても)もよく使うが、メジャーになりすぎたのでこれも「標準語化」しているのだという。

 彼女たちにとって、方言は、人間関係をやわらかくするコミュニケーションツールのようだ。電話よりメールでのやりとりが主流になった今、絵文字をどんなに使っても「不機嫌じゃない」ことが伝わりにくいという。そんな時に、方言を入れるとちょっとユルい雰囲気が伝わるんだとか。「相手からの文に方言が付いたのを見ると、まったりしてる感じがする」と話した子もいた。もう、電話で話しちゃえばとも思うが、なかなか電話のハードルは高い。それもちょっと悲しい気もするが。

 考えてみると私にとっての方言も、彼女たちと同じように甘じょっぱく、コミュニケーションツールの1つだ。高校卒業後に実家を離れたので、今では思考も標準語ですることがほとんどだ。どんな言葉で物を考えてるんだろう、と意識することってあまりないが、頭の中でもどうしても直らない言い回しは、「つらい」という意味の「えらい」くらい。だが、離れた家族と話す時はかなり意識して、ばりばりの方言を使う。聞き苦しいくらいに使う。そんな言葉、若い世代は使わないよ、ってな言葉も使ってみる。そうすると、ちょっと喜ぶというか、安心するのだ、家族が。離れて好きなことをさせてもらっているので、少しでもさみしさを感じさせたくないという、罪悪感に似たものかもしれない。

October 2, 2005 11:40 AM