2005年09月29日
時代に合わぬNHK:千葉修宏
学生時代、就職活動をしている時、すごく不思議だったのです。僕は新聞記者になりたかったのですが、一応マスコミ全般を志望してました。だからテレビ局やラジオ局の資料などを取り寄せたり、実際に会社の人に会ったりしました。周囲の人たちとも「あそこの会社へ入りたいね」というような話をしてました。でもそんな時、友人の多くがNHKを第1志望にしていたんです。
なぜ不思議だったかというと、僕が子供のころ、NHKの番組を見た記憶がなかったから。友人とするのは「8時だヨ!全員集合」とか「オレたちひょうきん族」の話だったし、よく見ていたランキングものの歌番組なども、みんな民放でした。だからNHK志望のヤツを「お前、今までNHKの番組なんか見たことなかっただろ」と、からかってみたりもしたわけです。まぁ公共放送としての安定性なんでしょうか。「ブランド力ってすごいな」と思いました。
現在、そんなブランドの力にも陰りが見えているようです。受信料不払件数も増え、NHK橋本元一会長(61)が簡易裁判所を通じた「支払い督促」など法的措置を導入することを打ち出しました。不払いは、元プロデューサーの番組制作費詐取など一連の不祥事を理由とする130万件のほか、面接困難な訪問集金の未納が130万件、経済的理由や長期不在など139万件。合計約399万件が法的措置の対象となる可能性があるそうです。
法的根拠があるならば「支払い督促」も仕方がないかな、とは思います。ただNHKの成り立ちそのものが、今の時代性に合わなくなってきているのもまた、否めないのではないでしょうか。
僕は現在、取材で米国へ来ていますが、だいたい見るチャンネルは4つです。まず仕事柄、ESPN(スポーツ専門放送局)。そして大好きな音楽を視聴するために、MTVなどの音楽系放送局。CNNでニュースを見て、趣味の映画のためにHBOというチャンネルをよく選択します。
それら4つは自分の意思で選択したチャンネルだから、もしそれに対して「金を払え」と言われても理解できます(ホテルのテレビなので、実際には支払いませんが)。人々の好みが多様化した現代、このように専門放送局が多くある米国では、見た分だけお金を支払うという「ペイ・パー・ビュー方式」が定着するのもうなずけます。
NHKは、見る・見ないにかかわらず、受信料を支払わなければなりません。いっそのこと「ペイ・パー・ビュー」にしてくれれば、みんなが納得するでしょうけど。そうなると「人々の役に立つ公共放送」という根本が崩れることになりますので、それは無理な話というものでしょう。
ただ誤解を恐れずに言えば、時代に合わないシステムを国民に納得させようとしているわけだから、それなりに努力が必要だと思います。橋本会長が渋谷の街頭で頭を下げるとか、局員全員で街角に出てビラを配ったりしてもらえば、必死さも伝わって好感も持てるのではないでしょうか。「NHK新生プラン」とか発表するより、そういう努力の方が大事だと思うんですけどねぇ。
September 29, 2005 12:38 PM
