記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年09月28日

ガンバが虎になれば:荻島弘一

 阪神のマジックが3になった。早ければ28日にも優勝が決まる。携帯電話の着メロを「六甲おろし」にして、黄色い服に身を包んでいる友人とは、しばらく会わないようにしよう。野球の話も封印。何よりも、38年ぶりに80敗した赤いチームの話題など出たら、情けなくて涙が出てしまう。

 それにしても、阪神ファンのエネルギーはすごい。対巨人、東京、中央に対する強烈な対抗意識。いや、敵対意識と言ってもいい。その反発心が、道頓堀川で冷やさなければならないほどの熱いエネルギーを生み出すのだろう(あくまでも個人的な感想です。違っていたら、ごめんなさい)。

 街をあげてチームを応援する。欧州のサッカーと同じだ。スペインのRマドリードとバルセロナの強烈なライバル意識は、まさに巨人と阪神の関係と同じ。中央政府の後押しを受け、豊富な資金で人気選手(4番打者?)を次々と獲得するRマドリードは、まるで巨人のようだ。中央政府に反発するカタルーニャ地方のバルセロナは阪神。都市間の対抗意識が強いから、リーグ戦も盛り上がる。

 スペインなど欧州各国では、クラブの人気は代表のそれを上回る。各クラブの選手の寄せ集めになる代表チームの人気がないのも、都市間にライバル意識があるからだ。スペインの山本美智子通信員は「代表の試合では、スタンドは埋まらない」と話していた。W杯予選の話題よりも、国内リーグと欧州チャンピオンズリーグの話題が優先する。

 ところが、日本では代表チームの人気が突出している。もちろん、クラブレベルでも熱いサポーターはいるし、観客動員に成功しているチームもある。ただ、メディアやスポンサーの関心は代表が中心。本来ならJリーグが盛り上がり、その頂点に代表があるもの。代表の人気ばかりが先行するのは、どうも不自然なような気がして仕方がない。

 阪神と同じように、JリーグでもG大阪が首位を走っている。鹿島との決戦に引き分けて、大阪のチームとして初のJリーグ制覇が見えてきた。しかし、阪神に比べて盛り上がっていないように思うのは錯覚だろうか。サポーターレベルでは盛り上がっても、それが街の熱として伝わってこないのは気のせいだろうか。

 もちろん、野球とサッカーの社会的な認知度の差はある。Jリーグが「プロ野球に追いつけ」とばかりに「地域に根ざした」プロスポーツを目標にスタートしてから13年目。ものすごい勢いで発展してきたとは言っても、阪神とG大阪の地域への浸透度を見ると、その差は大きい。G大阪が阪神の域まで達するには、まだまだ時間が必要だろう。

 もしG大阪の優勝が阪神ぐらい盛り上がる時がくれば、日本のサッカー界も変わるはずだ。単にサッカーというスポーツの枠を超えて、大阪の人たちが元気になるような影響力を持てれば、Jリーグが本当の意味で文化になるのだろう。代表ばかりが騒がれる不自然な状態もなくなる。国内リーグがあっての、代表チームなのだから。

September 28, 2005 11:14 AM