2005年09月26日
偶然ではない快進撃:横田和幸
サラリーマンとして会社組織に属せば、1度は社員研修という勉強会に参加しているはず。大阪日刊スポーツだと入社直後、たとえスポーツ記者に配属されるとしても、営業など他部署でどんな仕事をしているかを学ぶ。本紙を扱う販売店で早朝の新聞配達を手伝うこともある。
最近はプロスポーツも同様の取り組みが盛んだ。Jリーグではリーグ全体で新人研修会を開くが、各クラブ単位でも積極的な活動になってきた。関西では今年に入り、C大阪や神戸の選手が、繁華街で試合の告知活動に励む。プロだから試合で結果を残していればいいという考えは古い。チケットを売る苦労や仕組みが理解できなければ、クラブ全体の発展はない。
G大阪が今季、首位戦線に加わっている。優勝すれば13年目での初戴冠。関西勢では最初のリーグ制覇となる。超スローペースだったかもしれないが、組織として成長した証しだ。
クラブ単位での啓蒙活動は、実はG大阪が関西では先陣を切っていた。99年ごろから本格的に選手を駅前に立たせ、営業の機会を与えた。「ツネ様」宮本も立派な経験者。地元小学校を訪問し、選手がサッカー指導を行ったのもG大阪だ。
クラブ主導の研修会も定期的に開く。首位争いをする今夏は、若手対象の研修会があった。「選手とマスコミ」というテーマの内容で、私も記者代表で見学、参加させていただいた。ワールドユース代表の家長、リーグ通算1万ゴールを決めた前田らが練習後にもかかわらず、机に向かう。私たちと「どうマスコミと付き合っていけば良いか」という討論をした。
「僕が最近、困ったことは、記者から同じ質問を繰り返してされること。それが同じ記者が同じ質問をしてくる場合もある。そんな時はどうしたらいいんでしょうか?」。家長が私に質問をぶつけてきた。
私は「ある程度は我慢してほしい」と答え、付け加えた。「もし家長選手の協力で、その取材が記事になったとする。読者が読んで、家長選手を応援したいと思えば、万博に観戦に来てくれるかもしれない。そんな気の持ち方で、営業に協力できることもある」。彼はうなずいてくれた。
G大阪は過去、あしき伝統が先行していた。バブル時代の延長線だったリーグ発足直後、某選手はベンチを外されたことで激高、監督の批判を始めた。別の選手はフロントの批判と、内紛は日常的。勘違いもはなはだしかった。それが選手の人間育成を目的に90年代後半から、クラブが選手に多角的な教育を始め、チームは優勝争いに加わり始めた。
今年の快進撃は偶然ではない。24日の首位G大阪と2位鹿島の首位決戦にはしびれた。2万2000人を超える大観衆が詰め掛けた光景、そして死力を尽くした試合。結果こそドローに終わったが、鹿島との攻防は歴史に残る名勝負だった。前G大阪担当記者として、最後の最後に笑うのはG大阪と信じている。
September 26, 2005 01:05 PM
