記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年09月13日

球界にも“民営化”の波:栗原弘明

 小泉構造改革の一環が、日本のプロ野球を変えることになるかも知れない。そう思える出来事が、目立たないが、起こっている。

 千葉市は今月初め、千葉ロッテマリーンズの本拠地である千葉マリンスタジアムの管理、運営を民間に託す「指定管理者制度」を適用させることを明らかにした。その候補にロッテ球団と現在、同球場を運営している千葉市の第3セクター、千葉マリンスタジアムの2社を挙げた。今まで同球場は土地は千葉県、所有は千葉市、運営を第3セクターが行っているという構図だった。

 ロッテは今季、開幕前から積極的に県、市、マリンスタジアム社に対し協力要請を行い、様々な改革を行ってきた。敷地内での屋台の出店、外野フェンスの広告、周辺道路への懸垂幕設置、街灯の照度アップ、そして、来季からのフィールドシート設置などなど…。それでも、球団経営の収益構造を根本から変えるような抜本的な改革には遠く及んでいないのが実情のようだ。

 だが仮に球団が管理者に指定されれば運営そのものを一定の枠の中で自由にすることが可能になるのだ。集客作戦、広告営業、グッズや飲食店の営業を行い、収入も球団のものになる。球場周辺には広大な土地があるが、有効利用はされていない。ロッテは球場を含めてボールパーク化構想を持っているが、指定管理者の実績が足掛かりとなれば、再開発も可能になるかも知れない。ビジネスの領域だけではなく、今後、球団が「プロ野球」というソフト(ゲームやチーム)とハード(球場)を最大限活用した地元密着の新しいモデルが生まれるかもしれない。「地域にとってメジャーチームが地元にいる誇り」が浸透しているアメリカのように。

 昨年、球界再編騒動の中で、球団の赤字体質が問題となった。球団の球場運営が可能となれば、経営が根本から変わることになる。野球の試合は本拠地で毎日行われるわけではないから、球団がコンサートなど、様々なイベントを仕掛けることが可能になる。

 まだロッテが千葉マリンの指定管理者に決まったわけではないが、市が同制度の適用を発表したこと自体、前向きな姿勢であると解釈しても強引ではないだろう。指定管理者制度そのものは、一昨年に地方自治法の一部が改正され、公共施設の新たな管理方式として導入された。自治体としては民間企業の持つ活力を利用できるというメリットがあり、小泉構造改革の一環として実現したといえる。

 日本の野球、サッカー場は自治体が所有しているケースが多い。球団が直接球場を建設するには膨大な費用がかかるし、リスクも大きい。そんな中で同制度が適用されれば、プロ球団と自治体との協力の中で、地域に根ざした文化的な可能性も広がる。今回のケースでロッテが指定管理者になればプロ野球、Jリーグを含めたプロ球団の適用第1号となる。制度そのものには、まださまざまな問題やいろいろな意見があるだろう。だが日本の球団経営を根本から変えるスポーツビジネスの「タイムリーヒット」として今後の展開に注目したい。

September 13, 2005 03:00 PM