2005年09月03日
絵になる男ジョニー:栗原弘明
やっぱり、ジョニーは絵になる男だ。ロッテ黒木知宏投手(31)が8月28日のオリックス戦で、本拠地千葉マリンでは1545日ぶりとなる白星を飾った。詰め掛けた観客は満員の2万8918人。新球団楽天を迎えての3月26日開幕戦の2万8353人、ゴールデンウイークの5月4日楽天戦の2万8874人を超える今季最多となった。夏休み最後の日曜日と重なったこともあるが、黒木の「54」のレプリカユニホームを着たファンの行列を目の当たりにして、あらためてジョニー人気のすさまじさを感じた。
カメラマンにとってもシャッターチャンスの多い試合だった。翌日、紙面を飾ったのは試合後、マウンドから降りて、2階席までビッシリ埋まったスタンドをバックに、両手を突き上げて天を仰ぐ姿だった。印象的なシーンだった。通常は右翼から中堅までのロッテ外野応援団が、その日は左中間までのびていた。黒木はヒーローインタビューを終え、まず右翼スタンドへあいさつに走った。そのまま左翼へ走り、それからマウンドへ再び上がった。そしてマウンドから降りた後、天を仰いだのだ。
一瞬をとらえた越田省吾カメラマンは「目は切らさないように注意していましたが、マウンドからベンチへ戻る時に、あんなしぐさをするとは思わなかった。慌ててカメラを向けました」という。さらに「カメラマンとしても、見どころの多い試合でした。送稿する写真の数も、自然と普段よりは多い枚数になってしまった」と語った。
この試合で記憶に残った場面を挙げてみる。
◆登板直前、ベンチからマウンドへ向かうと、本塁から一塁へのライン真ん中の手前で立ち止まった。帽子を取って深々と頭を下げ、しばらくたってからラインをまたいだ。
◆マウンドに上がってからは、うつむいたり、ボールを見つめて集中力をひたすら高めた。
◆7回2死で一塁側ベンチへ降板、スタンドからの「ジョニー」コールに応えて、ベンチから出て帽子をとってグラウンドへ深々と頭を下げた。
◆ヒーローインタビューで小宮山から「本日の主役」のタスキをかけられ、こぼれる笑み。
◆試合後、復帰を祝って打ち上げられた54発の花火を照れくさそうに眺めた。
飾らない、野球に対する真摯(しんし)な姿勢がファンの共感を呼び、根強い人気につながっていると思う。黒木は今春のキャンプで「喜怒哀楽を出して真剣にやることが感動を呼ぶと思うし、そういうことをできる選手は少ないと思う。少なからずそこに入れてもらえているとすれば、それを全うしなくちゃいけないと思う」と漏らしていた。
歴史的な快進撃を続けるチームの中で、黒木が投げるということは、その陰で1人の選手が2軍に落ちるということだ。豊富な投手陣を誇るチームとしても、特別扱いはできないだろう。だが、個性的な選手が少なくなってきていると感じる日本プロ野球の中でも、「絵になる男」の存在は貴重だ。
September 3, 2005 12:42 PM
