2005年08月30日
体罰に頼らぬ指導を:千葉修宏
いや~、本当に良かったです。部長が暴力行為を行った駒大苫小牧野球部の、甲子園優勝が取り消されなくて。選手権大会の臨時運営委員会は27日、「指導者の行為の責任を選手に負わせるのは適当でない」として、同校の優勝を取り消さないことを決めました。これで57年ぶりの夏連覇という偉業を達成したナインたちにも、笑顔が戻るんじゃないですか。
当然といえば当然の判断なんですけどね。高野連は相当、駒苫の対応のまずさ、遅さを問題視しているみたいだったので、「もしかしたら優勝取り消しも!?」という不安はぬぐいきれませんでした。しかも、同じく不祥事で対応の遅れた明徳義塾は、夏の甲子園を辞退していたから(なんで高野連の処分を待たずに自ら出場辞退するのか、よく分かりませんが)。余計そう感じたのでしょう。
でも騒動の流れを追ってみても、今回の駒苫の場合は、ナインの無実は明らかです。
▼8月22日 同校野球部長が、6月と8月の2回、部員を殴るなどの暴力を振るっていたことが判明。被害部員の父親は、事実関係について反論。
▼同24日 駒大苫小牧・原教頭が被害部員に対し、圧力に近い発言をしたことを認めた。
▼同26日 部長、校長に加え、香田監督も同席して謝罪。双方が和解。
暴力を振るったのも、対応を遅らせたのも、まずい対応をしたのも、すべて学校関係者=大人。これで優勝はく奪になっていたら、夢や希望を抱いて高校野球部の門をたたく球児なんていなくなってしまうのでは、とまで思いました。
ただ指導者たちにとって今度の出来事は、もう1度自らのあり方を考える良い機会なのではないでしょうか。高野連は「高校野球は教育の一環」としていますが、今回の部長のように教育を“誤解”している指導者も少なからず存在します。心のどこかに「教育だから殴ってもいいんだ」という旧態依然とした、ゆがんだ愛のムチがある限り、このような事件はなくなりません。
僕も支局勤務時代にアマチュア野球を取材していましたから、素晴らしい監督、コーチ、先生方をたくさん知っています。でも、彼らは体罰に頼らず、ナインのモチベーションを高めるのが上手でした。
プロ野球ではロッテのバレンタイン監督や、02年に巨人が優勝した時の原監督。今年ア・リーグ中地区を独走するホワイトソックスのギーエン監督なんかまさにそうです。ナインが100%の力を発揮できるよう環境を整え、信頼していることを言葉で伝え、その気にさせる。高校野球でも同じで、そういうことができる人が本当に有能な指揮官なのではないでしょうか。
何か伝えたい時、拳を振り上げるのは最も簡単ですが、最も知性に欠けたやり方です。日々、新聞、テレビやインターネット等で海外の情報まで仕入れている現代の選手たちは、それでは納得しません。高校野球の“旧態依然な感じ”を助長している一部の指導者たちも、経験則だけでなくもっと知性を磨く必要があります。
August 30, 2005 04:08 PM
