2005年08月24日
「クジ運」鍵のドラフト:栗原弘明
プロ野球のドラフト戦線に異変が起きている。
駒大苫小牧が57年ぶりの2連覇を達成した夏の高校野球選手権。金の卵が期待通りの活躍を見せた。準決勝で敗れはしたが、大阪桐蔭の辻内崇伸投手は歴代2位となる65奪三振をマークした。平田良介外野手は1試合3本塁打も記録。両選手はともにドラフトで入札抽選(1巡目)で指名される可能性がある。甲子園は大きな盛り上がりを見せた。今年は高校生に逸材が多いと言われていたが、それを実証する大会となった。
例年ならば、バックネット裏でスピードガンを構えた各球団のスカウトからは「あの選手の素材は素晴らしい。ドラフト1巡目でいきたいね」という弾んだコメントが出るはずだった。早期に獲得表明すれば、選手、チームへの印象は良くなるし、熱意が伝わる。今までよくあった「意中の球団以外から指名された場合は、大学、社会人に行きます」という選手の“意中”に入る可能性も高くなる。
だが好選手、好プレーが続出したにもかかわらず「ドラフト候補? いい選手ではあるが、それについては言えないな。いろいろ総合的に判断しないといけない」というスカウトの慎重な姿勢が目立った。私としては、超高校級の記録が出た甲子園で、それは少し寂しい気持ちもした。
理由は今秋から導入される予定の新ドラフト制度にある。今までは高校生の有力選手を1巡目で獲得したい場合、指名が重複した場合は抽選を行った。クジに外れても、重複がなくなるまで抽選を繰り返すシステムだった。それが今年は高校生と大学、社会人の分離ドラフトになった。高校ドラフトでは、入札抽選に参加した場合、クジに参加できるのは1度だけ。外れたら、ウエーバー順の指名になってしまう。
10月3日に行われる高校生ドラフトのウエーバー順は9月26日時点での成績で決定する。仮に1選手の指名に12球団が集中した場合もクジは1度だけ。外れた場合は広島、楽天、巨人、日本ハム…という順序で指名していき、ソフトバンクは12番目でようやく回ってくることになる。上位にいる球団は「クジに外れたらアウト」の状態なのだ。ゆえに「抽選確率」も重要だ。2分の1ならOKか、3分の1なら回避か、5球団の競合なら避けるしかない…。他球団の動向を考慮しながら1巡目候補を決めていかざるを得ない。上位にいる球団からは「何で、こんなところにウエーバー順を持ってくるのか…」というボヤキも聞こえそうだ。
という、初体験のドラフトであるため、スカウト陣は慎重な姿勢を崩せないのだ。早期に1巡目指名の選手を表明しても、クジに外れて最後に回るかも知れない。その時に指名した選手に悪印象を与えかねないのだ。
現場の戸惑いの中、気付けば高校生ドラフトまで1カ月半を切っている。抽選にかける球団は、クジを引く人物を抽選で選ぶ-そんな話が冗談にならないほど、「クジ運」がキーワードになる今年のドラフトだ。
August 24, 2005 10:44 AM
