2005年07月08日
これで日本最高峰?:横田和幸
企業でいえば倒産寸前の状態だ。積立金も底を突いてきた。自転車操業で耐えられるのは今年限りか。だから、自分たちの看板を失うのは覚悟している。
女子サッカーLリーグの「宝塚バニーズ」(兵庫・宝塚市)が、来年にも京都に移転する可能性が高くなった。京都府サッカー協会への移管交渉中で、スポンサー企業も探している。話がまとまれば、例えば「京都バニーズ」といった名前で再生。選手が運営資金を自己負担してきたが、今回の移管で何割かは軽減される。
宝塚はバブルの申し子だった。ゴルフ場を経営する旭国際が90年に「旭国際バニーズ」を創部。95年には現名に変更となり、アトランタ五輪代表のエース野田に、外国人選手まで抱えていた。社員選手も競技に専念。勝てば勝利ボーナスを得られた。当時の年間運営資金は軽く1億円を超えていたという。
それが企業の撤退で、この6年間は選手だけの自主運営に切り替えられた。同じLリーグの高槻(大阪)も松下電器が撤退したが、高槻市体育協会が支援してくれた。しかし宝塚には応援組織は現れなかった。
最近の宝塚の運営資金は800万円と、全盛時の1割未満。関東圏への遠征に新幹線はご法度で、片道約500キロをバスに揺られて往復している。選手は遠征のたびにホテル代を含め1万円の出費。日々の練習場使用料、その交通費も自腹。これが女子の日本最高峰リーグの環境かと思えば、切なくなる。
だから、京都への移管で究極の財政難から脱出できれば、彼女たちの競技レベル向上になる。選手が試合会場で募金活動をすることも減っていくだろう。
昨年のアテネ五輪で、なでしこジャパンのFW荒川の本職がスーパーのレジ打ちということで話題になった。宝塚ではDF阪上は生活協同組合、FW三浦はガソリンスタンド、その他のメンバーもOLをしながら、生活費=競技費を稼いでいる。
在籍14年目でチーム最年長の31歳、2年前に旭国際を辞めたDF田中は、現在は大阪・豊中市の仕出し店「やまいち」で働く。「故障や手術をすれば、病院代がすべて自己負担なのがきつい。それでも頑張るのは? 若い子に追い抜かれたくないから」。前向きな姿勢には感動を覚える。
TASAKIなど恵まれた環境は、企業チームに限定される。Lリーグには何か、救済策はないのだろうか。鈴木保事務局長にぶつけた。「なでしこの知名度はあっても、Lリーグは知られていないのが現状。これを打破するために、リーグと契約してくれるスポンサーを探しています」。こちらも必死だった。
宝塚は今季、リーグ開幕から12連敗中。残り9試合で1部残留をかける。蔵(くら)力夫代表は「2部に絶対に落ちたくはない」と力を込める。宝塚として戦う、おそらく最後のシーズン。彼女たちは、勇敢に、美しく、戦い抜くことを心に決めている。
July 8, 2005 12:10 PM
