記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年07月31日

選択肢ある環境作り:千葉修宏

 今年の大リーグ・オールスターゲームは、7月12日に自動車の街デトロイトで行われました。米国は、かつての名選手を非常に大切にするお国柄。試合前のセレモニーには「ミスター・タイガー(ミスター・タイガース掛布さんじゃないですよ)」こと、通算3007安打の外野手アル・ケーライン氏(元タイガース)らが登場。ファンは総立ちで迎えてました。

 そんな中、会場となったコメリカパークで、懐かしい顔を見つけました。野球とフットボール、二足のわらじで活躍したボー・ジャクソン氏。バックスクリーンに、かつての球宴での活躍が映し出されると、球場は大盛り上がりでした。

 ◆ボー・ジャクソン 1962年11月30日、米アラバマ州生まれ。外野手。オーバーン大学出身。86年ドラフト4巡目でロイヤルズに指名されてプロ入り。その後、NFLレイダースでもプレーした。88年の大リーグ球宴では本塁打を含む4打数2安打2打点1盗塁でMVP。野球、フットボール両方のオールスターに出場した唯一の選手でもある。右投げ右打ち。186センチ、103キロ。

 ジャクソン氏や同じく兼業選手で有名だったディオン・サンダース(37歳の現在はNFLレーベンズでのみプレー。今年6月に1年間契約更新)のことを考えると、すごくうらやましくなるんですよね。僕なんて小学3年でスポーツ少年団の野球クラブに入部してから大学4年まで、一年中野球をやってて、フットボールをする時間なんてなかったですから。

 私事ですが、03年に子供が生まれてから、すごく教育について考えるようになりました。その中で最近、強く思うのが「子供が最善の道に進めるように、常に複数の選択肢を提示してあげたい」ということ。だって、野球、サッカー、勉強、芸術など、子供にとって何が一番能力を発揮できるかは、そんなに簡単には分からないですから。ジャクソン氏のように複数のスポーツに秀でているかもしれないし。

 米国在住の知人に聞いてみました。公立の小学校に通う彼女の8歳の息子さんは、(1)秋(9月から11月)はサッカー(2)冬(1月から3月)はバスケットボール、(3)春(4月から6月)は野球、をやるのだそうです。さらに彼は日本語学校から出される宿題もこなしながら、昨年10月から2月まではインドアサッカー(6人制)の町代表チームの選手だったそうです。

 そういう中から自分の才能を見極めていけるシステムって、すごく大切ですよね。でも残念ながら、今の日本では、いったん野球部に入部したら、辞めない限りは他の道に進みにくいのも事実。いつも汗だくでボールを追い、甲子園を目指している球児は素晴らしいけど、大人はそういった周囲の環境を改善していかなくちゃ、と思います。「オレも高校、大学と、サッカー部と掛け持ちできてたら、今ごろはセリエAだったかな」なんて、バカなことを考えながら、この原稿を書きました。

July 31, 2005 11:16 AM