記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年07月21日

野茂から勧誘された:千葉修宏

 野茂英雄投手(36)が16日(日本時間17日)、デビルレイズから戦力外通告を受けました。10日間で他球団から獲得の申し込みがなければ、デ軍とマイナー契約するか、自由契約となって他球団と交渉することになります。

 引き金は15日のブルージェイズ戦(トロント)。2回2/3を7失点で8敗目を喫しました。今季年俸は格安の80万ドル(約8400万円)とはいえ、投球回数などで出来高が発生するベテランを、優勝の可能性のない貧乏チームは必要としないのでしょうか。

 そんな状況を分かっていながら、ピネラ監督の「次は20日のボストン戦に投げさせる」という言葉をうのみにし、16日朝にはとっととトロントを離れてしまったダメな僕。「野茂が戦力外」のニュースを、次の取材先であるミルウォーキーのホテルで知ることになるとは。おまけに、18日にホワイトソックスの取材で訪れたシカゴでは、高津臣吾投手まで戦力外に。あぁ神様、僕が悪い運を運んでしまってるんでしょうか…。

 まぁ、それはさておき、これから書くのは14日の野茂投手との会話についてです。「千葉さん、どこかの会員になってますか? なってないなら、ウチの会員になってくださいよ」。そう言われた時、意味が分かりませんでした。まず、僕の名字が千葉だということを、日米通算200勝を挙げた“あの”野茂が知っていた事実。それだけで頭が混乱してしまったのです。

 僕は都市対抗野球出場を決めた「NOMOベースボールクラブ」へのコメントをもらいに、ブ軍本拠地ロジャースセンターのロッカー室にいました。登板当日の15日だと話しづらいかと思い、前日に聞いてしまおうとしたのです。野茂投手は自ら設立したクラブへエールを送ってくれた後、突然、前述の言葉を口にしました。

 アホな僕はまず困惑し、次に「野球部だった大学時代から何年もプレーしてないのに、NOMOクラブに入団してくれっていうのかな?」と心の中で、失礼極まりない勘違いをしました。そして、さらに数秒たってから「たぶんNOMOクラブって、一般に会員を募集して、活動費を募ってるんだ」と気が付きました。

 せっかく本人から勧誘されたので、クラブに問い合わせてみました。すると、同クラブは大阪府より特定非営利活動(NPO)法人の認証を受けており、試合を行うほかにも、少年野球教室や少年野球大会を開催するなど、社会貢献活動を行っているとのこと。会員は、会費を通じてそれらを支援するのだそうです。

 野茂投手が、僕のような記者にまで会員になることを勧めている事実に触れ、「この人、本気なんだ」と強く感じました。もともと同クラブの設立理由が、社会人チームの減少のため、プレーしたくてもできない若者に、その場所を提供する、というもの。野茂投手ほど日本の野球の将来を考えている現役選手も少ないのではないでしょうか。

 だからこそ、戦力外通告に負けずに、またどこかのメジャー球団で投げてほしいと思います。少年たちも、クラブの部員たちも、どんな状況でも黙々と投げ続けてきた野茂投手が目標だから、頑張れるのだから。

July 21, 2005 02:18 PM