2005年06月30日
バナナはおやつか?:飯島智則
このコラムは掲載日の3日前までに、1度デスクへ大筋を提出する決まりになっている。その後も締め切りギリギリまで書き直しをするし、テーマ変更も認められているが、ひとつの決まり事として存在する。これを書いているのは掲載前日の28日なので、私は規則を守っていないことになる。ただし遅れてもペナルティーはない。
規模が小さくとも、人が集まれば規則、決まり事ができる。学校ならば校則、会社ならば社則。クラブ活動でも、サークルでもルールはある。もっと言えば家庭でも、友人同士でも決め事はある。例えば、部員は毎月会費を納める。遅刻をしたら部室の掃除をするとか。もっともペナルティーを設けるか否かは、その組織の判断によって異なるだろう。
プロ野球界は「倫理行動宣言」を出した。昨年起きたスカウト活動における不正防止を目的とするものである。前文には「再出発にあたり、私たち野球人は、フェアプレーとスポーツマンシップに立ち返ることから始めたい。それがプロ野球に対する国民の信頼を確保し、ユニホームの栄光を汚さぬ唯一の道であるからだ」などと記されている。その上で利益供与は一切しないと誓っている。
利益供与は一切しない…言うのは簡単だが、難しい面もある。例えば話をするとき、お茶を出してもいけないのか。コーヒーは? 飲み物ならいいのか。お茶菓子を出してはいけないのか。では液体はよくて固形物がダメなのか。ゼリーはどっち? 小学生のころ、遠足のおやつは300円までと定められていたが、バナナはおやつに入るかどうか、学級会で論争になった。あれとよく似ている。
実行委員会の議長を務めるパ・リーグ小池会長は「そういう議論は次元が低いし、切りがないでしょう」と言う。だから利益供与については明文化していない。各球団、スカウトの常識の範囲に任せる。つまりコーヒーがいいか悪いかは、自分の常識で判断する。違反の範囲やペナルティーは「コミッショナー裁定」とされている。
この不正防止案について「甘い」という意見もあるだろう。だが、私はこれでいいと思う。そもそも野球協約は日本プロ野球組織(NPB)というサークルの内規に過ぎない。法律というより、サークルの決め事に近い。例えば遅刻者が続出して困るので「遅刻したら罰として部室の掃除」というルールを作った、という種のものと思う。そういうサークル内で警察のような監視機関や調査機関があること自体、無理があるし、適さないだろう。
倫理行動宣言について、根来コミッショナーは「性悪説ではなく性善説に基づいている。つまり守られることが前提です」と説明した。不正防止は、それでいいと思う。ただ、だからこそドラフトは違反の起こりにくい制度にすべき…自由枠を撤廃すべきだろう。
さて、私は今回でコラムのメンバーから退く。もともと1年ごとに交代すると決まっており、決して締め切りを守らずにきた処罰ではない。しかし、担当の南沢デスクからの信用は、かなり失っただろう。ペナルティーでもあった方が、気が楽だった。
June 30, 2005 12:01 PM
