記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年06月28日

夢露芸能界で技磨く:横田和幸

 これも五輪舞台でメダルを獲得するための過程でしかない。

 スノーボード女子ハーフパイプ競技で、来年2月開幕のトリノ五輪代表に内定した成田夢露(めろ、17=夢くらぶ)が、今年10月から関西の民放テレビ局でレギュラー番組を持つことが内定した。出演は事前録画で、トークあり、歌ありといった芸能人顔負けの内容になるようだ。

 五輪を4カ月後に控えた時期に、遊んでいる場合? という批判も聞こえてきそうだが、本人は通常の練習を完全にこなした上での芸能界進出だ。

 スノーボードは採点競技という特殊性がある。5人の審判員を魅了させ、観客を自分の世界に引き込まないと高得点は生まれない。舞台俳優と同じ感覚だろう。だから芸の道に入り、共演者、視聴者との駆け引きを覚えるのは、大賛成。すでにスタイリストがつき、彼女はどんどんきれいになっていくのが分かる。

 歌手としてCDデビューの話も進行中だ。今春から大阪市内で発声練習を始めた。師事したのは、69年に「港町シャンソン」で60万枚のヒットを飛ばしたジャズシンガー原田信夫さん。70歳の師匠が「彼女は3オクターブの音階を持つプロ級の素材」と驚いている。

 先日はその歌声をライブハウスで披露した。原田先生のコンサートに飛び入り参加し、ラップグループ「童子-T」の曲に、自ら作った歌詞をはめ込んで「夢」という歌を歌った。前評判通りの歌唱力だった。

 「感想? 楽しかったですよ。歌詞は1週間で完成させました。スノーボードは自分が競技をして、楽しさと喜びが生まれる。歌はみんなと空気を分かち合う感じが好き。私はいろんな面で輝いていきたい」。

 17歳の瞳はキラキラしていた。今回の歌はトリノ五輪の会場でかける。8人が進出する決勝は1人60秒の競技時間内に、各自が選曲した音楽を流してもいい。夢露が作った歌詞で、夢露がメダルをつかむ。歌詞は変更せず、曲はヒップ・ホップグループ「キック・ザ・カンクルー」に作曲を依頼する案もあるとか。

 史上最年少の12歳でプロスノーボーダーとなり、大阪・加賀屋中を卒業後は高校に進学しないで競技に専念してきた。兄童夢(どうむ=19)弟緑夢(ぐりむ=11)も同競技のトップ選手で、この世界で「成田3兄妹」を知らない人はいない。代表内定以降、どこへ行くにも夢露にテレビカメラが密着し、ドキュメンタリー番組の制作も進む。

 現在は体のバランスを整えるために、トランポリンの練習をこなす。実際にその腕前も際立っており、08年北京五輪をトランポリンで狙う可能性がある。実現すれば、冬・夏季五輪のダブル出場になる。この年齢で、中期的な人生設計図が描けているとは恐るべしだ。

 大阪から誕生した大型ヒロインだけに、今後はさらに取材機会が増えそう。同じ大阪人。応援せずにはいられません。

June 28, 2005 03:22 PM