記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年06月25日

劇的ドラフト復活だ:栗原弘明

 今年は久しぶりにドキドキ、のプロ野球ドラフト会議になるかも知れない。球界改革について話し合うワーキングチーム(作業部会)では、ドラフト改革のたたき台となる案を作成中だ。それに先駆けて、20日の実行委員会でスカウト活動における不正を防止するため、「倫理行動宣言」を発表した。「新人選手獲得活動において、利益供与は一切行わない」などが盛り込まれている。

 アマ側との契約交渉における「利益供与」の解釈について、ロッテ瀬戸山球団代表は「コーヒーもどうなるのか、ということになってしまうが、そういうことが本質ではない」という。では、交渉の際に持って行く、お茶菓子などの手土産の扱いは? ばかばかしいかも知れないが、今年のドラフト活動は何かとギクシャクしたものになってしまうかも知れない。

 アマ側にとっても、それは同じだ。例えば、高校生には(現時点で)逆指名権はないが、例年「希望球団以外なら大学、社会人」をにおわす選手もいる。限りなく「逆指名」に近いかたちになってしまうパターンもある。そういうこともあって、近年のドラフトは「安全策」が主流になっていた。優秀な高校生がいても、指名拒否や競合となってクジを外すことをおそれ、大学生、社会人へ自由獲得枠の行使に動く。結果的に「この選手に自由獲得枠か…」と疑問符がつくような安易な戦略を感じることもあった。

 だが今年はどういう制度になろうが、プロアマともに「クリーンなドラフト」が求められる。加えて、高校生中心のドラフトにもなりそうな気配だ。大学、社会人に目玉選手が少ない。その分、高校生が豊作だ。「大阪の四天王」といわれる大阪桐蔭の平田良介外野手と辻内崇伸投手、履正社の岡田貴弘外野手、近大付の鶴直人投手に、柳ケ浦(大分)の山口俊投手と思いつくままにあげても、西日本の高校生に逸材がそろう。プロとしては堂々と金の卵の指名に踏み切るおぜん立てはできているわけだ。

 高校生中心となればスカウト間の直前までの読み合い、探り合い、そしてクジ引き…と、不確定要素があり、ドラマも数多く生まれるかも知れない。

 個人的にドキドキしたドラフト…といえば98年11月20日だ。担当していた日本ハムは、目玉の松坂大輔投手(当時横浜高)を指名した。横浜、西武との競合でクジ引きとなった。日本中が注目していた松坂の運命。私も当時の上田利治監督の手元に注目…えっ? 何をするかと思ったら、クジの入った3枚の封筒すべてを箱から取り出し、会場の度肝を抜いた。さらに手で触って上、真ん中、下のうち、真ん中を引いた。しかも、外れに終わってしまったのである。その行動にムッとした表情を隠さなかった当時の西武東尾修監督が、結局、当たりクジを引いた。ドキドキした、というよりは、ビックリしたという方が適切だったかも知れない。

 今となっては懐かしい思い出だが、今年のドラフトは11月18日の予定だ。どんなドラマが生まれるか。その前に、しっかりした制度改革が出来てからの話だが。

June 25, 2005 11:53 AM