記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年06月13日

本大会で感動したい:盧載鎭

 何か物足りない。

 ジーコジャパンは8日、バンコクで北朝鮮に勝って3大会連続のW杯出場を決めた。世界一番乗りのおまけまで付けた。日本に続いてイラン、韓国、サウジアラビアと、アジアの強豪国も続々と本大会出場を決めた。

 これでいいのか。もうW杯出場は悲願の夢ではなくなってしまったのか。W杯がこんな身近な大会になっていいのか。8年前のジョホールバルのような歓喜をサポーターは感じているのか。

 正直、僕は感じなかった。日本代表を応援する気持ちは、他の人と変わらないはず。でも何か、納得できない。W杯進出が決まってからの代表メンバーの喜び方も、8年前とはずいぶんと違う。

 日本は、世代交代がうまく進んでいない。4年後は、今回のようにはうまくは決まらないかもしれない。しかし、今回のメンバーは史上最強と言っても過言ではないと僕は思う。中田英寿、中村俊輔、小野伸二。10年、20年に1人の逸材が中盤に3人もいる。それぞれが世界で貴重な経験も積んでいる。

 アジアの大会に満足できないのは、すでに我々の判断基準が世界に向いているからだろう。中田英は「今の日本にW杯で勝てる力はない」と言ったが、僕はそうは思わない。優勝は難しいかもしれないが、上位に食い込む力は持っていると思う。

 サッカーは実力のあるチームが勝つ可能性が高い競技だが、実力差ほどスコアが開かないことが多い。無意味だが「あの場面で決まっていれば…」と思う試合も多い。

 いい準備をして運を味方に付ければ、日本の快進撃は夢ではない。

 8年前にW杯予選を経験したGK川口能活は言う。「フランスの時は予選を突破するのに精いっぱいだった。でも今は、8年間の経験とみんなの努力があるから、W杯で勝てる地盤はできたと思う」。

 世界との戦いの前にはどうしても弱点を気にしてしまう。GK川口とDF宮本は空中戦に弱い。DF田中はストッパーが本職ではない。ボランチ福西は簡単なミスをする時がある。中田英はすでに全盛期が過ぎている。中村はフィジカルと守備が弱い。小野はケガがち。FW陣はそろって決定力不足。両サイドからも正確なクロスが上がらない…。

 しかし日本は、それを補って余りある絶対的な武器がある。団結力だ。サクラやアジサイのように、束になればさらに美しい、今の日本代表にはその力がある。「1対1の対決で負ければ、1対2、1対3の場面をつくればいい」とMF中村は言う。11人が連動できれば、世界トップレベルの相手でも完敗することはまずない。

 W杯まであと1年。これからが本当の勝負だ。予選で味わえなかった感動を、本大会で感じたい。そう思う人は僕1人ではないはずだ。

June 13, 2005 11:27 AM