記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年06月03日

サインプレーに注目:盧載鎭

 3大会連続W杯出場へ、いよいよ3日(日本時間4日未明)バーレーン戦を迎える。昨年、W杯1次予選を戦う最中、「1次さえ突破すれば、最終予選は少しは余裕を持って臨める。グループ2位までW杯出場できるのだから」と、選手たちは口をそろえていた。

 最終予選が始まったが、思ったほど楽な展開には持ち込めていない。日本は、アジアのサッカーをリードする最強の一角には間違いないが、実力通りにいかないのがサッカーである。個々が優れた技術を持っていても、融合できなければ、結果には結び付かない。

 ジーコジャパンは、6月の最終予選2連戦直前の調整試合・キリン杯で2敗を喫した。確かに、キリン杯も立派なタイトルには違いない。しかし、そのタイトルのため最も大事な最終予選に影響が出るようでは、それこそ問題なのである。

 連敗してアウエーの地に乗り込んだことで、心配を募らせる人も少なくない。しかし、心配ご無用。ジーコ監督は、日本が最も得意とするセットプレーを隠した。直接狙える位置ではキッカーの質で得点が決まるが、CKや両サイドからのFKはキッカーと合わせる選手との感覚を一致させることが大事なのである。

 02年10月の就任以来、ジーコ監督は重要な試合前には必ずセットプレー時のサインプレーを指示している。ある選手は「W杯予選とか、アジア杯の重要な試合では指示があったけれど、キリン杯ではなかった」と明かす。

 サインは試合ごとに微妙に変える。左手がダミーで右手を上げればファーサイド。手の甲や手のひらを見せることでニアサイド。ボールをセットする時にすね当てを右手で触ればショートコーナー。左手で触ればダミーなど、いろいろなバリエーションがある。時間帯や前後半で変えることも多い。

 3月25日、アウエーのイラン戦に1-2で負けた後、選手たちはいろんな反省の言葉を口にした。キリン杯で連敗した直後は「気持ちで負けた」。「1対1で勝たないと」など、周囲から問題点を指摘された。

 だが、みんなが心配するほど、日本代表のメンタルは弱くない。スポンサー絡みなどで強行日程を強いられ、思うように体が動かず力をセーブすることはある。しかし、W杯出場に直結する試合で手抜きをする選手はいない。応援するサポーター以上に、W杯に行きたがっているのは彼ら自身なのだから。

 当然、バーレーンも必勝の構えで臨んでくるはず。精神面で互角なら、自分の形のあるチームが有利なのは明白だ。しかも1度対戦した相手である。相手はセットプレーの守備で、ニアサイドに速いスピードで放り込むボールの対応には強く、ファーサイドで折り返すボールには弱い。3月の対戦で、キッカー中村とターゲット中沢が確認したものである。

 ジーコ監督は、どんなサインプレーを用意するのか。勝利の美酒を用意し、サインを見つけていくのも、楽しみの1つだ。

June 3, 2005 12:01 PM