記者コラム「見た 聞いた 思った」

2005年05月31日

野球の魅力探す喜び:飯島智則

 ◆西武中村剛也(なかむら・たけや)21歳。大阪桐蔭から01年ドラフト2巡目で入団。4年目。選手名鑑は身長173センチ、体重95キロとなっているが、実際は102キロという。座右の銘が「おかわり」というだけあり、食べるのが大好き。丸いお腹も気にせず「これで動けるし、減量するつもりはありません。年々増えています」。ダイエットブームの昨今に逆行しながらも、本塁打を量産して台頭中。太めの体に似合わず? 50メートル走は6秒台で、動きも柔らかくセンスあふれる。一見の価値あり。


 ◆ロッテ渡辺俊介(わたなべ・しゅんすけ)28歳。国学院栃木から国学大、新日鉄君津を経て00年ドラフト4位で入団。5年目。投げる時、手にしたボールが地面に着いてしまうほど体を倒して投げるサブマリン投手。120キロ台の速球も、相手打者には脅威に映る。ただ、注目すべきは、最近では珍しくなった美しいフォームだけではない。3月27日の楽天戦でロッテは26ー0で大勝した。猛攻ばかりが目立ったが、彼は最少の27人で1安打完封をしてみせた。その後、5月8日横浜戦でも18ー0という大差の試合で完封した。大味になりがちな試合展開でも「いくらでも援護はありがたい」と言って、淡々と自分の仕事を全うするプロである。


 ◆巨人矢野謙次(やの・けんじ)24歳。国学院久我山から国学大を経て02年ドラフト6巡目で入団。3年目。チャンスを得ることすら困難な球団にあって、高橋由の故障による抜てきで名前を売った。5月5日に昇格即、今季1号を放ったとき、私はテレビで見ていた。ベースを周りながらガッツポーズを繰り返す表情も、真剣そのもの、必死さがあふれていた。やったな。思わず口に出してしまうほど感情移入して、胸が温かくなった。最近(ドラフトで逆指名制度を導入して以降といってもいい)の巨人で、こんな体験は珍しい。高橋由の復帰で2軍落ちしたが、再挑戦を楽しみにしている。


 ◆西武石井義人(いしい・よしひと)26歳。浦和学院から96年ドラフト4位で横浜入団。故障と闘う生活が続くが、西武トレード後に華開く。現在、パ・リーグ打率トップ。


 ◆オリックス後藤光尊(ごとう・みつたか)26歳。秋田から法大に進むも中退。川鉄千葉を経て01年ドラフト10巡目で入団。今季はサヨナラ弾、満塁弾、逆転弾、代打逆転弾と勝負強い打撃が目立つ。その分、痛い失策もするけど…。武骨な顔付きもよく、個人的には注目度NO・1。


 ドラフト制度などの構造改革をはじめ、球界の問題点を取材する機会が多い。本欄でも様々な問題や改善点を指摘してきた。もちろん球界発展のため必要な作業と自負している。しかし、ややもすると欠点ばかりを探そうとする自分に気付く。今回も野球協約上の矛盾点を指摘する原稿を書こうと準備していたのだが、西武中村が本塁打を放った後の笑顔を見ていたら気が変わった。


 スター不在といわれるけど、捨てたものではない。マリナーズ・イチローやヤンキース松井は、見る側が何もせずとも感動を与えてくれる。今の球界で、それを期待するのは無理かもしれない。しかし、見る側が積極的に求めていく喜びや楽しさもある。

May 31, 2005 12:46 PM