2005年05月27日
31年間守り通した魂:永井孝昌
5月18、19日。於日本武道館。
よみがえった鋼鉄神は、そこにいた。へビーメタル(以下HM)の権化、JUDAS PRIEST(以下JP)がロブ・ハルフォード(ボーカル)を擁するラインアップで復活した、実に14年ぶりの来日公演。はち切れそうな期待感が、会場を覆い尽くしていた。
暗転。「The HELLION」が流れると場内はメロディをなぞるように大合唱を始める。続く「Electric Eye」でロブが姿を現せば大歓声。「Metal Gods」「Riding on the Wind」でロブが命を削るような叫びを絞り出せば、K.K.ダウニングとグレン・ティプトン、2人のギタリストは発表から29年を経た今も色あせない「The Ripper」のイントロを紡ぎ出して、JPの音楽の深淵へと聴衆を誘っていった。
74年に英国でデビュー。以来、常にHMとは何か、その答を体現してきた。鋭く硬質なリフとハイトーンボーカル、スタッド&レザーというスタイル、激しい演奏を大音量で繰り広げるライブ。その攻撃性ゆえに社会からもまた攻撃され、生まれては消えていく音楽シーンの流行の中で時代遅れと揶揄(やゆ)され、90年代には少年の自殺事件の原因がJPの曲にある、といわれなき裁判を起こされたりもした。92年にはロブが脱退し、バンドは存続の危機にも直面した。
そうした苦難にも決して信念を曲げることなく、ロブの復帰で復活を遂げたJP。武道館で見せたライブには、デビューから31年間もの長きに渡り、様式美を守り通してきたバンドにしか表現できない「何か」が漂っていた。あえて言葉にするならば、大切に飾られてきた名刀の軽やかな切れ味ではなく、幾多の戦いで血を流し、実戦を生き抜いてきた刀だけが持つすごみ。武道館を2階席までびっしりと埋め尽くしたあの夜の観客は、汗をぬぐうことすら忘れていたJP入魂の演奏になぜ自分がHMという音楽を愛しているのかを再認識したに違いない。
ライブは続いていく。今年2月発表の新譜「ANGEL OF RETRIBUTION」からの曲を連続して、再結成がノスタルジーではなく、未来に目を向けたものであることを証明する。終盤にはこの2日間のライブが録音され「RE-UNLEASHED IN THE EAST」として発表される予定であることをアナウンスして「Victim of Changes」「Exciter」と名曲をたたみかける。キャリア31年、50歳を超えてなお屈強なメンバーたちが提示したのは全23曲、2時間超のあまりに強烈なショーだった。
批判に揺らぐことなく、己を貫いてきた強い信念。ライブを見終わった2日間とも、武道館を背にした帰りの坂道で同じことを考えていた。「不器用な生き方でも、どんなに批判されようと、信念なき人生に価値はない」と。けれど自分は、そう思い続けて生きられるほど強い人間じゃない。
だからJP、この思いが揺らぐ前にもう1度「必ず日本に帰ってくる」と誓った言葉を実現してほしい。
May 27, 2005 12:06 PM
