2005年05月26日
広島の嶋「きっかけ」は55:栗原弘明
高校3年生だった11年前と、まったく変わっていなかった。アマチュア時代から同じ気性を持ち続けている選手というのは、うれしいものだ。太い腕に、少しポッチャリしたおなか。年齢より落ち着いて見える癒やし系の顔立ちに、屈託のない語り口も変わらない。ただニックネームが「東北の快腕」から「赤ゴジラ」に変わった-広島の嶋重宣外野手(28)だ。
交流戦の恩恵で、アマ時代に見ていた数多くの選手を、チェックできるのはありがたい。体格の変ぼうやプロ入りした後の成長を直接、感じることができる。嶋も同じだ。広島-ロッテ3連戦で、ゆっくり話をする時間を持つことができた。95年春、宮城・東北高校の卒業式後に一緒に立ち寄ったラーメン店以来だろうか。広島県にある福山市民球場の通路のパイプいすに、どっかり腰を下ろしている嶋を発見した。「久しぶりですねえ。変わらない? 当然ですよ」と、彼は人懐こい笑みを浮かべた。
ドラフトの目玉投手として入団した。なかなか活躍することが出来ず、その後、打者に転向。あれほど投手にこだわると言っていたのに「そんなこともありましたねえ」と笑っていた。毎年、オフには戦力外通告されるのではないかと心配していたほどだった。が、背番号を55番に変えてから昨年、突然ブレイク。首位打者まで獲得した。
-出来るんなら、もっと早く頑張ったら良かったのに。
嶋「自信はずっとありましたよ。1軍でやっても結果を残せるという。練習は本当に、必死にやってきましたからね。だけど、自分の持っているバッティングの基本というか、それを変えたくなかったので、時間がかかっちゃった」。
-背番号はヤンキース松井秀喜の「55」を意識したの?
嶋「あんまり関係ないですね。まあ、「赤ゴジラ」でいろいろ取り上げてもらったので、ありがたかったですけれど。本当は、背番号は変わったんじゃなくて、変えられたんです。まず、自分の背番号を新人に譲ってくれと球団から言われたもので。ああ、いいですよ、と答えました。悔しかった? 当然です。それでゾロ目が好きだったのと、有名な占い師の方に『5』がいいとアドバイスされたので、55となりました。本当にその通りに活躍できたので、うれしかったですね」。
プロ野球で、10年選手が突如ブレイクするというのは珍しいことだ。野球でも、人生でも、根本的には変わっていないのに、少しのきっかけで、結果が変わってしまうことがある。それを証明した彼の言葉を、不思議な気持ちで聞いていた。
ロッテ3連戦で、嶋は1安打1打点に終わった。「本当にロッテはピッチャーがいい。強いチームですよ」と悔しそうに話していた。昨年のタイトルホルダーも、同じように数字を残し続けるのは簡単なことではないだろう。だが、せっかくの「きっかけ」を手にしたのだ。それを大切にして活躍を続けて欲しいと思う。
May 26, 2005 01:12 PM
