2005年05月21日
変則投球禁止徐々に:飯島智則
横浜三浦、楽天岩隈、中日落合、阪神安藤…。彼らは来季からフォームの変更を余儀なくされる。実行委員会では来季から投球の際に足を2度上げる、いわゆる「2段モーション」を禁止すると承認した。
ルールが変わったわけではない。野球規則の8・01(a)の「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」は以前から同じ。今回は、あくまで「ルール通りに」と確認したわけだ。
先駆者の三浦がこの珍しいフォームに改造する際、コーチが審判のところに行って認められるかどうか確認。一連の動作として認めるという見解を得て始めた。三浦は2段モーションでエースとなった。
三浦は言う。「詳しい話を聞いていないので何とも言えません。でも報道で知る限り疑問は残る。ルールが変わったのならば分かるけど、同じルールのままで以前は認められたことがダメになるものか」。
丸山博規則委員は「突き詰めて言えば、過去に認めたことが間違いだったと思う」と言う。三浦が2段モーションを始めたとき、ルール研究会などでは「あれは認められない」との意見が大勢を占めていたという。しかし結局は「2度上げたり1度で投げたり、その都度変えてはいけない」という注釈付きで認めた。
三浦は2段モーションを始めてから12年目を迎えた。なぜ今、解釈が変わるのか。実行委員会では「国内外から疑問の声が上がっていた。国際化に対応するため来季から規則通りとする」と説明した。今秋のアジアシリーズ、来春予定のワールド・ベースボール・クラシックと国際大会が続く。
アマ側からの要望も強かった。プロで許可されているため、アマでもマネする投手が増えた。好ましい傾向ではないという認識。3月に巨人清武代表らが日本高等学校野球連盟(高野連)と会談した際に強く要望され、これが契機となり実行委員会の議題に上った。私は国際化より、こちらの影響が強かったとみている。
2段モーションが規則違反か否かは別問題として、公に長期間、認めてきた事実を無視はできない。来年から禁止となれば、三浦は10年以上かけて培ってきたフォームを、わずか半年のオフで大幅に直さなければならない。三浦に限らず、多くの投手の選手生命にかかわる恐れがある。
84年に耳付きヘルメットの着用義務が明文化された際、対象は74年以降の入団者に限定され、なおかつ前83年に耳付きを着用していなかった選手は「この限りではない」という条文が加えられた。つまり耳付きだとプレーしにくいという選手に考慮して選択の余地を残した。古い話だが、1920年に大リーグでスピットボール(だ液をボールにつけて変化させる)が禁止になった際も、それまで投げていた投手に限り認められた。ともに、何年か後に特例者はいなくなる。いわば緩やかな変革である。
一部の人だけ認められる形は、いびつだろう。しかし、過去の経緯が引き起こした結果だと認識する必要がある。無理やり形を整えるばかりが正しい方法ではない。
May 21, 2005 12:52 PM
